ガラマサどん(佐々木邦)のあらすじ・登場人物
ガラマサどんの横這い這い
- 風刺
- 文字数
- 98,951字
- 読了目安
- 約3時間18分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
1930年(昭和5年)、「キング」に一年にわたって連載された佐々木邦のユーモア小説。語り手の熊野君は、頭は悪くないが「勤め運」だけがとびきり悪い男で、会社が潰れ、上役と衝突し、雑誌社を追われ、失業しては次を探すことにかけてだけは名人である。ようやく拾われた大きなビール会社で、蟹に似た体つきから「ガラマサどん」と呼ばれる勲三等の社長に目をつけられ、その自叙伝の代筆係を命ぜられてしまう。出世と保身、見栄と忖度に右往左往する会社員の生態を、穏やかな笑いで描き出した代表作。
あらすじ
長男が小学校で全甲を取ると、妻は「矢っ張りこの子は頭が好いわ」と得意になり、「おれに似たんだ」と私は主張する。頭は悪くない、ただし勤め運だけが絶望的に悪い。最初の会社は三年で潰れ、次の新聞社では意地の悪い上役と正面衝突して馘首、雑誌社では小遣い稼ぎの原稿が祟って体よく追い出された。そのたび母校の三好さんに「又不可抗力に出会いました」と泣きつく。九年かかってようやく落ちついたのが、大きなビール会社である。同僚の香川君が教えてくれたところによると、社長の手取りは年十万、勲三等、そして蟹に似た体つきから「ガラマサどん」という綽名がある——勲章を貰った祝賀会で酔って「ガラマサどんの横這い這い、キンキラキンのキンキラキン」と歌ったのが始まりだという。やがて私は社長室に呼ばれ、小説を書くそうだねと詰め寄られる。探偵物を家で書いているだけです、と身を固くする私に社長が命じたのは、自分の一代記を代筆せよという途方もない役目だった。
登場人物
- 熊野君(私) 頭は悪くないが勤め運の悪い会社員。ビール会社で社長の自叙伝係を命ぜられる
- 妻 夫の勤め運を案じ続けている
- ガラマサどん(社長) 蟹に似た体つきから綽名のついた勲三等のビール会社社長
- 香川君 同じ会社の同僚。社内の事情を何でも教えてくれる
- 三好さん 出身校の幹事をつとめる先輩。失職のたび世話を焼かされる
冒頭部(原文より)
失業の名人 長男が小学校へ入学して、初めての成績が全甲だった時、妻は、 「矢っ張りこの子は頭が好いわ」 と得意になった。 「おれに似たんだ」 と私は主張した。 「オホヽ」 「何だい?」 「然うでございましょうよ」
「ガラマサどん」佐々木邦(青空文庫)
末尾部(原文より)
「忙しいところを五日静養したものだから、抜き差しが叶わない。落ちついてから又大いにやろう」 と社長は万事多忙に託けて、昼食を済ますと間もなく帰って行ってしまった。
「ガラマサどん」佐々木邦(青空文庫)
原文を読む
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