原爆小景(原民喜)のあらすじ・登場人物
コレガ人間ナノデス
- 文字数
- 1,316字
- 読了目安
- 約3分
- 表記
- 新字旧仮名
- 舞台
- 広島県
この作品について
原民喜が、被爆の光景をカタカナを多用して刻んだ連作詩。「コレガ人間ナノデス」で始まる冒頭の一篇をはじめ、「燃エガラ」「水ヲ下サイ」「永遠のみどり」などの短い詩が続く。事実の重さを硬い声で差し出す、原爆文学を代表する詩の一つ。
あらすじ
連作は「コレガ人間ナノデス」で始まる。原子爆弾による変化を見てほしい、肉体は恐ろしく膨張し、男も女もすべて一つの型に変わる、焼け焦げた顔の腫れた唇から漏れる声は「助ケテ下サイ」。これが人間なのです、人間の顔なのです、と繰り返す。続く「燃エガラ」は、暗闇のなかをもがき、叫んで外へ出ていく人々を描く。さらに「水ヲ下サイ」では、水を求める声が反復される。最後の「永遠のみどり」は、ヒロシマのデルタに若葉があふれ、青葉がしたたれと祈る短い詩で、鎮魂の調べで閉じる。
冒頭部(原文より)
コレガ人間ナノデス コレガ人間ナノデス 原子爆弾ニ依ル変化ヲゴラン下サイ 肉体ガ恐ロシク膨脹シ 男モ女モスベテ一ツノ型ニカヘル オオ ソノ真黒焦ゲノ滅茶苦茶ノ 爛レタ顔ノムクンダ唇カラ洩レテ来ル声ハ 「助ケテ下サイ」
「原爆小景」原民喜(青空文庫)
末尾部(原文より)
ヒロシマのデルタに 若葉うづまけ 死と焔の記憶に よき祈よ こもれ とはのみどりを とはのみどりを ヒロシマのデルタに 青葉したたれ
「原爆小景」原民喜(青空文庫)
名文
水ヲ下サイ アア 水ヲ下サイ ノマシテ下サイ 死ンダハウガ マシデ 死ンダハウガ
原民喜『原爆小景』の「水ヲ下サイ」の冒頭。被爆した人々の声をカタカナで書き留め、乾いた叫びそのものを詩にする。句読点もない途切れた言葉が、惨状を何より生々しく伝える原爆文学の一篇。
原文を読む
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