原子爆弾(原民喜)のあらすじ・登場人物
夏の野に幻の破片きらめけり
- 文字数
- 127字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 新字旧仮名
- 舞台
- 広島県
この作品について
原民喜が、広島の被爆の光景を十句の俳句に刻んだ連作。夏の野、短夜、炎の樹、死臭、少女、蜻蛉と、季語を手がかりに、廃墟の記憶が静かに並べられる。散文や詩とは異なる、凝縮された定型の力で、被爆の記憶を伝える。
あらすじ
十句の連作。「夏の野に幻の破片きらめけり」で始まり、炎の樹が雷雨の空に舞い上がる様子や、死臭に満ちた百日紅を詠む。「重傷者来て飲む清水生温く」「梯子にゐる屍もあり雲の峰」と、被爆直後の情景が具体的に描かれ、「水をのみ死にゆく少女蝉の声」「人の肩に爪立てて死す夏の月」と、死の場面が続く。後半は「魂呆けて川にかがめり月見草」と、茫然とした心の動きが示され、「廃虚すぎて蜻蛉の群を眺めやる」と廃墟を行く目で閉じられる。
冒頭部(原文より)
夏の野に幻の破片きらめけり 短夜を※れし山河叫び合ふ 炎の樹雷雨の空に舞ひ上る 日の暑さ死臭に満てる百日紅 重傷者来て飲む清水生温く 梯子にゐる屍もあり雲の峰 水をのみ死にゆく少女蝉の声 人の肩に爪立てて死す夏の月
「原子爆弾」原民喜(青空文庫)
末尾部(原文より)
魂呆けて川にかがめり月見草 廃虚すぎて蜻蛉の群を眺めやる
「原子爆弾」原民喜(青空文庫)
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