ガリバー旅行記(スウィフト)のあらすじ・登場人物
小人の国から、馬の国まで
- 冒険
- 風刺
- 翻訳
- 文字数
- 121,007字
- 読了目安
- 約4時間2分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
小人国・大人国・飛島・馬の国をめぐるスウィフトの風刺小説(1726年)を、「夏の花」の作者・原民喜が子どもにも読めるよう全四篇にわたって語り直したもの。原爆で被災した広島を書きつづけた作者が、自ら命を絶つ直前に仕上げた仕事で、1951年(昭和26年)三月に刊行された。小人たちの党派争いや、人間そっくりの獣ヤーフの醜さなど、原作の辛辣な人間批評はそのまま残されており、巻末には原民喜自身の被爆の記録と「ガリヴァの歌」が添えられている。
あらすじ
船医レミュエル・ガリバーは、外国へ行きたい一心で航海術と医学を学び、船に乗る。最初の難破でたどり着いたのは、身の丈が自分の十二分の一しかない小人たちの国リリパットだった。縛られ、運ばれ、やがて皇帝の信を得た彼は、敵国の艦隊を綱で引いてくる働きをするが、靴のかかとの高さや卵を割る向きをめぐって争う宮廷の党派争いに巻きこまれ、反逆者として追われる身になる。次に流れ着いた大人国ブロブディンナグでは、立場が逆転し、猫や蜂や猿におびえる見世物の小人として暮らし、国王に故国の政治を語ってはその野蛮さを笑われる。三度目の航海で訪れる空飛ぶ島ラピュタでは、音楽と数学に溺れて足もとの見えない学者たちと、無用の研究に没頭する研究所を見る。そして最後にたどり着いたのが、理性そのもののような馬フウイヌムが治め、人間そっくりの獣ヤーフが家畜として使われている国だった。人間のあさましさを骨まで見せられたガリバーは、その国にとどまることを願うが許されず、ヤーフたちの世界へ戻ってゆく。
登場人物
- レミュエル・ガリバー 外国への憧れから船に乗る船医
- リリパットの皇帝 小人の国の君主。ガリバーを重用したのち反逆者とする
- ブロブディンナグの国王 大人国の君主。ガリバーの語る故国の政治に驚く
- フウイヌム 理性をそなえた馬。ガリバーを客として受け入れる
- ヤーフ 馬の国で家畜とされている、人間そっくりの獣
冒頭部(原文より)
第一、小人国(リリパット) 1 大騒動 私はいろ/\不思議な国を旅行して、さま/″\の珍しいことを見てきた者です。名前はレミュエル・ガリバーと申します。 子供のときから、船に乗って外国へ行ってみたいと思っていたので、航海術や、数学や、医学などを勉強しました。外国語の勉強も、私は大へん得意でした。 一六九九年の五月、私は『かもしか号』に乗って、イギリスの港から出帆しました。船が東インドに向う頃から、海が荒れだし、船員たちは大そう弱っていました。 十一月五日のことです。ひどい霧の中を、船は進んでいました。その霧のために、大きな岩が、すぐ目の前に現れてくるまで、気がつかなかったのです。 あッという間に、岩に衝突、船は真二つになりました。
「ガリバー旅行記」スウィフト(青空文庫)
末尾部(原文より)
私はごく簡単に、これまでの身の上話をしてやりました。すると、船長は夢の話でも聞いているような顔つきでした。しかし、彼はなか/\賢い男で、やがて私の話をだん/\わかってくれました。私も、もう二度と逃げ出すようなことはしないと約束しました。 航海は順調に進みました。一七一五年十一月五日、船はリスボンに着きました。十一月二十四日にイギリス船で私はリスボンを発ち、十二月五日にダウンスに着きました。 てっきり私を死んだものと思い込んでいた妻子たちは、大喜びで迎えてくれました。家に入ると、妻は私を両腕に抱いてキスしました。だが、なにしろこの数年間というものは、人間に触られたことがなかったので、一時間ばかり、私は気絶してしまいました。
「ガリバー旅行記」スウィフト(青空文庫)
名文
私はいろ〳〵不思議な国を旅行して、さま〴〵の珍しいことを見てきた者です。名前はレミュエル・ガリバーと申します。
ガリバーが語り手として名乗る冒頭。小人国から始まる不思議な国々への旅を、読者にやさしく語りかける。
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。