畑の祭(北原白秋)のあらすじ・登場人物
麦畑と海の光の詩集
- 文字数
- 12,271字
- 読了目安
- 約25分
- 表記
- 新字旧仮名
- 舞台
- 神奈川県
この作品について
北原白秋の詩集。三浦半島・三崎のくらしを背景に、土地の人びとの口ぶりをそのまま生かした方言詩と、海の光や小鳥を歌う鋭い短詩とを併せて収める。巻頭の「山景」は、崖の上の麦畑で働く農夫が朝日と波の音に勢いづく場面を、「やれ、やれ」「たまんねえ」といった語り口で一気に描く。白秋が民謡・童謡の仕事を経て見いだした、日常語の躍動感を味わう詩集。
あらすじ
巻頭の「山景」「崖の上の麦畠」では、真赤なお天道さまが上るころ、鍬を下ろす農夫の独白で、鶺鴒の声、露の草原、崖の下に広がる真蒼な海、尖った岩にぶつかる波が、畳みかけられる。熟れた麦の穂がキラキラと波打つ光景に、男は「胸をづんと張りきつて」息を吸い込む。続く詩篇には「道路」「崖」「馬」「墓」「海光」「新月」「波」「油壺」「銃猟」などの題が並び、三崎の漁村と畑の暮らしが次々に映し出される。巻末の短詩「小鳥」は、金色の光の中を一線に飛ぶ小鳥を、翼をつけた独楽にたとえ、「小鳥はこの時まさしく小鳥の姿となる」と結ぶ。
冒頭部(原文より)
山景 崖の上の麦畠 真赤なお天道さんが上らつしやる。やつこらさと 鍬を下ろすと、ケンケンケンケン…… 鶺鴒めが鳴きくさる、 崖の上の麦畠、 天気は快し、草つ原に露がいつぱいだで、 そこいら中ギラギラしてたまんねえ。
「畑の祭」北原白秋(青空文庫)
末尾部(原文より)
さながら翼つけし独楽の とめてとまらぬその迅さ。 かぎりなき大海の上、 ただひとつころがれる日輪の 朱紅の円さ。 小鳥は飛ぶ、一線にその面を横ぎる。 かなしくも突き抜けむとす。 小鳥はこの時まさしく小鳥の姿となる。
「畑の祭」北原白秋(青空文庫)
原文を読む
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