東京景物詩及其他(北原白秋)のあらすじ・登場人物
東京の夕暮れを描く詩集
- 文字数
- 31,193字
- 読了目安
- 約1時間2分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
北原白秋の第三詩集。1913年(大正2)刊。「屋上庭園」「パンの会」の仲間にささげられた、都会の夕暮れ・街灯・電車・噴水を、官能的な色と音の言葉で描いた詩集である。『邪宗門』の異国趣味から、同時代の東京そのものを素材にした新しい都市詩へ踏み出した一冊で、巻末の著者識には、東京への「哀別の涙」と、三崎の田園に移る心境が記される。
あらすじ
巻頭の「東京夜曲」は「公園の薄暮」から始まる。「ほの青き銀色の空気に、そことなく噴水の水はしたたり」と、夕暮れの公園を色と光で描き、羽毛の襟巻をした女たち、紫の弧燈、電車のきしりが重ねられていく。同じ詩集の他の章でも、街灯や瓦斯の黄、洋風と国風が混在する街並みが、五官の感覚を総動員した言葉で捉えられる。末尾の著者識では、華やかな都会の喧騒から離れて相州三崎の田園に就く心境が述べられ、「東京、東京、その名の何すればしかく哀しく美くしきや」と、都会への惜別が記される。
冒頭部(原文より)
わかき日の饗宴を忍びてこの怪しき紺と青との 詩集を“PAN”とわが「屋上庭園」の友にささぐ 東京夜曲 公園の薄暮 ほの青き銀色の空気に、 そことなく噴水の水はしたたり、 薄明ややしばしさまかえぬほど、 ふくらなる羽毛頸巻のいろなやましく女ゆきかふ。
「東京景物詩及其他」北原白秋(青空文庫)
末尾部(原文より)
東京、東京、その名の何すればしかく哀しく美くしきや。われら今高華なる都会の喧騒より逃れて漸く田園の風光に就く、やさしき粗野と原始的単純はわが前にあり、新生来らんとす。顧みて今復東京のために更に哀別の涙をそそぐ。 大正二年 初夏 相州三崎にて 著者識
「東京景物詩及其他」北原白秋(青空文庫)
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