本因坊・呉清源十番碁観戦記(坂口安吾)のあらすじ・登場人物
碁盤の外の世紀の対局
- 文字数
- 2,884字
- 読了目安
- 約6分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
1948年7月、読売新聞に載った囲碁の観戦記。本因坊と呉清源八段の対局を、小石川の旅館での前夜から二日目の午前まで、坂口安吾が現地で見て綴った。碁の手順の解説よりも、棋士の人柄や旅館の空気、対局をめぐる騒ぎを軽快な文体で追っている。作者は碁を好み、碁会所に通った日々を別の随筆にも書いている。
あらすじ
対局前夜、呉氏の応援に上京した宗教団体の一行が宿でもめて警察に留置され、呉氏はその引き取りに奔走して行方が知れなくなる。深夜に旅館へ現れた呉氏は、風呂に入って眠った。翌朝、世紀の対局が始まる。筆者は、勝てば囲碁の第一人者が中国に移りかねない一戦を受けた本因坊の度量をたたえ、考えるうちに若い書生のように引き締まる顔や、眠気をはらうために席を立つ呉氏の癖を描く。下では、封じ手の夜、忘れ物を取りに帰りたいという本因坊に、呉氏が静かに対局中の外出を戒める場面、二日目の朝の呉氏の食事、国籍の異なる第一人者が名誉をかけて争う日本初の国際試合への期待が語られる。
冒頭部(原文より)
対局前夜、夕方六時、対局所の小石川もみじ旅館に両棋士、僕、三人集合、宿泊のはずであった。翌日の対局開始が、朝九時、早いからである。 僕が第一着、六時五分也。
「本因坊・呉清源十番碁観戦記」坂口安吾(青空文庫)
末尾部(原文より)
本因坊はアッサリ食べ終り、呉氏はビワと格闘するように食べ終って、ギロリと目玉をむいて、盤を睨む。 国籍異る世界最高、第一人者が名誉をかけて争う国際試合は、日本の歴史において、これが最初だ。果して、この歴史的争碁が、いかなる結果に終るであろうか。
「本因坊・呉清源十番碁観戦記」坂口安吾(青空文庫)
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