本所両国(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
幼い日の本所を歩き直す
- 文字数
- 20,997字
- 読了目安
- 約42分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
- 舞台
- 東京都
この作品について
芥川龍之介の随筆。東京日日新聞の連載企画「大東京繁昌記」の一篇で、1927(昭和2)年5月6日から22日に掲載された。社命で同僚と本所界隈を歩きながら、二十歳ごろまで住んでいた土地の記憶と、震災後の変貌を重ね、大溝、お竹倉、一銭蒸汽、回向院などを順にたどる。家族との会話で締めくくられる。
あらすじ
本所のスケッチを命じられた筆者が、同じ社のO君と久しぶりに本所を歩く。かつて住んでいた小泉町の近くにあった「お竹倉」や「大溝」の記憶、叔父が語った新徴組の話、両国の橋や富士見の渡し、一銭蒸汽の船旅、柳島の萩寺、天神様、錦糸堀、回向院などの景色を順にたどる。江戸の名残を宿していた町が、関東大震災とその後の工業化で変わってしまったことを、思い出と照らし合わせながら書く。最後の「方丈記」の章では、両親や妻、伯母とのやりとりの中で、変わり果てた故郷への驚きを語り、『方丈記』の一節で無常を述べる。
冒頭部(原文より)
大溝 僕は本所界隈のことをスケッチしろという社命を受け、同じ社のO君と一しょに久振りに本所へ出かけて行った。今その印象記を書くのに当り、本所両国と題したのは或は意味を成していないかも知れない。しかしなぜか両国は本所区のうちにあるものの、本所以外の土地の空気も漂っていることは確かである。そこでO君とも相談の上、ちょっと電車の方向板じみた本所両国という題を用いることにした。
「本所両国」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
……いにしへ見し人は、二三十人の中に僅に一人二人なり。朝に死し、夕に生まるゝならひ、たゞ水の泡にぞ似たりける。知らず、生れ死ぬる人、何方より来たりて、何方へか去る。』……」 母「何だえ、それは? 『お文様』のようじゃないか?」 僕「これですか? これは『方丈記』ですよ。僕などよりもちょっと偉かった鴨の長明という人の書いた本ですよ。」
「本所両国」芥川龍之介(青空文庫)
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