一日の労苦(太宰治)のあらすじ・登場人物
浪曼的完成を語る日記
- 文字数
- 2,503字
- 読了目安
- 約5分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
太宰治の随筆。1938年(昭和13年)3月、雑誌「新潮」に発表された。「一日の労苦は一日にて足れり」の言葉から題を取り、排除と反抗に終始した従来の作家修行から、すべてを抱えて歩く「浪曼的完成」「浪曼的秩序」へと向かう心境の転換を、断定的で軽妙な短文で語る。
あらすじ
「日々の告白」と名づけるつもりが、「思い煩うな」の聖句から「一日の労苦」と書いた、と作者は始める。このごろ自分の苦悩に自惚れを持ち、自分の才能を客観的につかめたと感じる一方、為すべきことが何もない苦笑も隠さない。かつては排除と反抗が作家修行の第一歩で、完成と秩序に憧れて芸術が枯れたと省みる。すると、北方の百姓のような作者は、むくむくと起き上がったと言う。そして、無性格も卑屈も復讐心も、すべてを受け取ってそのまま歩くことを、「浪曼的完成、浪曼的秩序」と名づける。鎖につながれたら鎖のまま、十字架に張りつけられたら十字架のまま歩くのだと言い、最後は、作家はロマンスを書くべきだと結ぶ。
冒頭部(原文より)
一月二十二日。 日々の告白という題にしようつもりであったが、ふと、一日の労苦は一日にて足れり、という言葉を思い出し、そのまま、一日の労苦、と書きしたためた。
「一日の労苦」太宰治(青空文庫)
末尾部(原文より)
俳優で言えば、彦三郎、などと、訪客を大いに笑わせて、さてまた、小声で呟くことには、「悪魔はひとりすすり泣く。」この男、なかなか食えない。 作家は、ロマンスを書くべきである。
「一日の労苦」太宰治(青空文庫)
原文を読む
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