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石の思い(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

石が考える

坂口安吾 1946年(昭和21年)11月 「光」

文字数
15,259字
読了目安
約31分
表記
新字新仮名
種別
随筆
舞台
  • 新潟県

この作品について

1946年(昭和21年)11月、雑誌「光」に載った自伝的な随筆。新潟の政治家の家に生まれた安吾が、墨をすらされる以外に交渉のなかった父、憎みあった母、学校を休んで海の松林にねころんでいた中学生の自分を、冷静に振り返る。生家の陰気さと、そこで自分が抱え続けた「切なさ」を見つめる作品で、安吾の自己認識が深く語られている。

あらすじ

安吾の父は十度も代議士に当選した田舎政治家で、漢詩人でもあったが、安吾との交渉は墨をすらせるときだけだった。十三人兄弟の末の男で、母は貧乏と先妻の娘たちとの不和で半ば気が変になっており、幼い安吾は母に憎まれ、また母を憎んだ。ひねくれた餓鬼大将だった安吾は、小学校から盗みを覚え、中学で眼鏡を買ってもらえず勉強も分からなくなり、学校を休んで海辺の松林でねころぶようになる。やがて落第し、東京の中学へ移った。安吾は後に父の伝記を読み、父の小さな律義さが自分の短所と重なることに気づく。雪国の旧家の陰鬱さへの恐れ、白痴の従兄が家出して死んだ日に戸が次々と倒れた話、母を呼びつづける心を語り、最後に「一つの石が考えるのである」と結ぶ。

冒頭部(原文より)

 私の父は私の十八の年(丁度東京の大地震の秋であったが)に死んだのだから父と子との交渉が相当あってもよい筈なのだが、何もない。私は十三人もある兄弟(尤も妾の子もある)の末男で下に妹が一人あるだけ父とは全く年齢が違う。だから私の友人達が子供と二十五か三十しか違わないので子供達と友達みたいに話をしているのを見ると変な気がするので、私と父にはそういう記憶が全くない。

「石の思い」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

 私はいつも空の奥、海のかなたに見えない母をよんでいた。ふるさとの母をよんでいた。  そして私は今も尚よびつづけている。そして私は今も尚、家を怖れる。いつの日、いずこの戸を蹴倒して私は死なねばならないかと考える。一つの石が考えるのである。

「石の思い」坂口安吾(青空文庫)

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原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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