遺書(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
芥川が家族に遺した最後の言葉
- 文字数
- 2,017字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
芥川竜之介が自殺に際して遺した、家族に宛てた遺書。妻や子供たち、身辺の始末について、「過去の生活の総決算」として自らの死を語る。1927年(昭和2年)7月に35歳で世を去った芥川の、私的で切実な最後の言葉である。
あらすじ
「僕等人間は一事件の為に容易に自殺などするものではない。僕は過去の生活の総決算の為に自殺するのである」——芥川はそう書き起こす。彼は自らの生涯を振り返り、ある人妻との関係への後悔、恋愛をめぐる打算、養家での「孝行に似たもの」への悔い、そしてあらゆるものへの嫌悪を、率直に書きつづる。「僕は現在は僕自身には勿論、あらゆるものに嫌悪を感じてゐる」。続いて彼は、妻や子供たちへ言葉を遺し、身辺の始末——句集のこと、石塔の字のこと、追善のこと——を、こまやかに書き遺していく。そして「あらゆる人々の赦さんことを請ひ、あらゆる人々を赦さんとするわが心中を忘るる勿れ」と結ぶ。文豪が最期に残した、私的で切実な言葉。近代文学史のひとつの結末を伝える、痛切な遺稿である。
冒頭部(原文より)
僕等人間は一事件の為に容易に自殺などするものではない。僕は過去の生活の総決算の為に自殺するのである。(……)僕は現在は僕自身には勿論、あらゆるものに嫌悪を感じてゐる。
「遺書」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
三 沖本君に印譜を作りて貰ふべし。わが追善などに句集を加へて配るもよし。 四 石塔の字は必ず小穴君を煩はすべし。 五 あらゆる人々の赦さんことを請ひ、あらゆる人々を赦さんとするわが心中を忘るる勿れ。
「遺書」芥川龍之介(青空文庫)
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