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風と光と二十の私と(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

代用教員だった二十歳の日々

坂口安吾 1947年(昭和22年)1月 「文芸」

文字数
15,154字
読了目安
約30分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

坂口安吾が1947年(昭和22年)、「文芸」に発表した自伝的随筆。安吾が二十歳のころ、東京の小学校の代用教員をつとめた一年間を回想する。放校や落第を重ねた放縦な少年時代を経て、教壇に立った青年安吾。子どもたちへの深い愛情と、自然のなかで太陽の讃歌のように満ち足りていた日々、そしてその充足の底にひそんでいた青春の不安と求道の思いとを、率直に、生き生きとつづった名随筆である。

あらすじ

坂口安吾は、放校されたり落第したりを重ね、二十歳でようやく中学を卒業した。十八のとき父が死に、残されたのは借金ばかり。学業嫌いの安吾は大学へは進まず、東京の小学校の代用教員となる。放縦で人の命令に服することのできない性分の彼は、少年時代から学校をサボっては墓地の草原に寝ころんで空を眺めているような子どもだった。そんな安吾が、教壇に立って子どもたちと過ごした一年間は、彼の生涯のなかでも、まったく別人のように「変に充ち足りた」時間だった。彼は子どもたちを深く愛し、自然の感触に溺れ、魂からは太陽の讃歌のようなものが常に流れ出ていた。だが、その充足の底には、青春特有の不安と空虚もひそんでいた。やがて安吾は、「さとり」への漠然としたあこがれから、いっさいを捨てて坊主になろうと思い立ち、迷いのすえに教員をやめる。何もかも捨てれば、どうにかなるのではないか――そんなヤケクソにも似た「捨てる」志向もまた、青春の跫音のひとつにすぎなかったことを、彼はうすうす感じていた。二十歳の安吾の、風と光に満ちた一年を、みずみずしくもほろ苦く回想した名随筆である。

登場人物

冒頭部(原文より)

 私は放校されたり、落第したり、中学を卒業したのは二十の年であった。十八のとき父が死んで、残されたのは借金だけということが分って、私達は長屋へ住むようになった。お前みたいな学業の嫌いな奴が大学などへ入学しても仕方がなかろう、という周囲の説で、尤も別に大学へ入学するなという命令ではなかったけれども、尤もな話であるから、私は働くことにした。小学校の代用教員になったのである。

「風と光と二十の私と」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

 私は少年時代から小説家になりたかったのだ。だがその才能がないと思いこんでいたので、そういう正しい希望へのてんからの諦めが、底に働いていたこともあったろう。  教員時代の変に充ち足りた一年間というものは、私の歴史の中で、私自身でないような、思いだすたびに嘘のような変に白々しい気持がするのである。

「風と光と二十の私と」坂口安吾(青空文庫)

原文を読む

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