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雲母集(北原白秋)のあらすじ・登場人物

光る山を押し傾ける力

北原白秋 1915年(大正4年)8月

文字数
17,142字
読了目安
約34分
表記
新字旧仮名

この作品について

北原白秋の第三歌集。1915年(大正4)8月刊。小笠原・三崎の暮らしと、苦しい日々の中で詠まれた短歌を収める。巻頭に「雲母」の語釈を掲げ、「煌々と光りて動く山ひとつ押し傾けて来る力はも」のような、大づかみで力のこもった歌から始まる。初期の耽美的な歌風から、自然と生の実感を直に見すえる歌へと移っていく途上の一巻で、のちの『白南風』や『黒檜』へつながる白秋短歌の転機を示す。

あらすじ

巻頭に雲母(きらら)の語釈と「新生」の序歌が置かれ、「力」「卵」「大鴉」といった題のもとに連作が並ぶ。「煌々と光りて深き巣のなかは卵ばつかりつまりけるかも」と卵の歌で生命のかたまりを見せ、「大鴉一羽渚に黙ふかしうしろにうごく漣の列」では、渚を歩く大鴉を連続する短い歌で追い、六羽がいっせいに飛び立つ場面へと高めてゆく。同じ素材を角度を変えて何首も重ねる詠み方が特徴で、一首ごとの味わいよりも連作全体の気配を味わう歌集である。末尾の「著者識」には、これらの歌が全く自分のものであり、自分を救うものは自分自身だという実感が記され、「滴るものは日のしづく、静かにたまる目の涙」の句で結ばれる。

冒頭部(原文より)

きらら。  雲母。うんも。玉のたぐひにて、五色のひかりあり。深山の石の間にいでくるものにて、紙をかさねたるごとくかさなりあひて、剥げば、よくはがれて、うすく、紙のやうになれども、火にいれてもやけず。水にいれてもぬるゝことなし。和名(雲母和名、岐良々)

「雲母集」北原白秋(青空文庫)

末尾部(原文より)

 兎に角此の雲母集一巻は純然たる三崎歌集である。而してこれらの歌が全く自分のものであり、私の信念が又、真実に自分の心の底から燦めき出したものに相違ないといふ事は、自分ながらただただ難有く感謝してゐる。自分を救ふものは矢張自分自身である。 滴るものは日のしづく、静かにたまる目の涙 大正四年八月 著者識 雲母集 畢

「雲母集」北原白秋(青空文庫)

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