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小桜姫物語(浅野和三郎)のあらすじ・登場人物

小桜姫が語る、死後の世界の見取図

  • 幻想

浅野和三郎 1937年(昭和12年)

文字数
136,009字
読了目安
約4時間32分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 神奈川県

この作品について

日本の心霊研究の草分けである浅野和三郎が、妻・多慶子を霊媒として得たという「霊界通信」の記録。戦国期に三浦半島で生きたという小桜姫が、その生涯と、死後に神界で修行を積んでいくさまを一人称で語ってゆく。信じるか否かは別として、死後の世界を体系的に語った日本語の記録として異色の一冊である。

あらすじ

「本物語は謂わば家庭的に行われたる霊界通信の一にして、そこには些の誇張も夾雑物もないものである」——序に置かれた兄・淺野正恭の言葉が、この書の性格を告げている。語り手は小桜姫。戦国のころ、三浦半島の三浦一族に嫁いだ姫であるという。前半では、その生い立ち、婚姻、そして北条方との戦いで夫と一族を失い、自らも命を落とすまでの生涯が、当時の暮らしの細部とともに語られる。後半に入ると、話は死後の世界へ移る。肉体を離れた直後の混乱、迎えに来る者たち、幽界の下層で自らの執着に苦しむ霊たちの姿。やがて姫は師にあたる霊のもとで修行を始め、想念のはたらき、他者を救うための働き、神界の階層と組織について学んでゆく。人はなぜ生まれ、死んでどうなるのか。神々や仏はどのような存在なのか——姫の答えは具体的で、ときに素朴なほど図式的である。終盤では、神社の御祭神には自然霊系と人霊系の別があること、いかにすぐれた人霊が本体であっても控えには必ず有力な竜神が付いていること、そしてすべての神々の上に皇孫命が、さらに奥には天照大御神が控えていることが説かれる。観音や不動といった区別も、幽界下層の眷族が立てているだけで、奥のほうは皆一つなのだ——富士山に登る道がいろいろあるのと同じだ、と姫は語り終える。

登場人物

冒頭部(原文より)

舌代  本物語は謂わば家庭的に行われたる霊界通信の一にして、そこには些の誇張も夾雑物もないものである。が、其の性質上記の如きところより、之を発表せんとするに当りては、亡弟も可なり慎重な態度を採り。霊告による祠の所在地、並に其の修行場などを実地に踏査する等、いよいよ其の架空的にあらざる事を確かめたる後、始めて之を雑誌に掲載せるものである。

「小桜姫物語」浅野和三郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

 これ等の神々の外に、この国には観音様とか、不動様とか、その他さまざまのものがございますが、私がこちらで実地に査べたところでは、それはただ途中の相違……つまり幽界の下層に居る眷族が、かれこれ区別を立てているだけのもので、奥の方は皆一つなのでございます。富士山に登りますにも、道はいろいろつけてございます。教えの道も矢張りそうした訳のものではなかろうかと存じられます。

「小桜姫物語」浅野和三郎(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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