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教育と文芸(夏目漱石)のあらすじ・登場人物

教育の変化と文学の流れを重ねる

夏目漱石 1911年(明治44年)7月 「信濃教育」

文字数
6,833字
読了目安
約14分
表記
新字新仮名

この作品について

1911年、長野の教育会に招かれた漱石が行った講演の筆記で、『信濃教育』に載った。明治以前の理想から出発した「感激教育」と、明治以後の事実から出発する教育を対比し、それぞれを文学の浪漫主義と自然主義に重ねて論じる。新ローマン主義への展望も語り、教育者に向けて文学と教育のつながりを説く。講演の記録で、文責は記者にある。

あらすじ

教育会に招かれた漱石は、題を教育と文芸とし、教育は学校教育に限らず家庭・社会教育を含み、文芸は主に小説と戯曲を指すと断る。昔の教育は忠孝などの理想を立て、それを実現させようとする感激教育で、人の弱点を許さなかった。明治以後は事実から出発し、人間には表裏があるとして社会も己も教育する。道徳の評価も寛容になり、自分の欠点を露骨に正直に出すことを恥としなくなった。これを文学に当てはめると、昔の徳育はローマン主義、現代の教育は自然主義と対応する。ローマン主義は偉大さを感じさせて人を未来に結びつけ、自然主義は現在の欠点を鏡のように映して親しみを与える。人間には自分以上のものを望む心があるのでロマン主義は永久に生き、自然主義も価値を持つ。自然主義の弊害が目立つ現在、これを救うのは昔への復帰ではなく、二者を調和させた新ローマン主義だと予想する。教育者には文学は無縁ではなく、両者は重なると述べる。

冒頭部(原文より)

 私は思いがけなく前から当地の教育会の御招待を受けました。凡そ一カ月前に御通知がありましたが、私は、その時になって見なければ、出られるか出られぬか分らぬために、直にお答をすることが出来ませんでした。

「教育と文芸」夏目漱石(青空文庫)

末尾部(原文より)

 この二者は密接なる関係を有して、二つであるけれどもつまりは一つに重なるものと見てよろしいのであります。故に前申した通り文学と教育とは決して離れないものであるのであります。(文責記者にあり)

「教育と文芸」夏目漱石(青空文庫)

原文を読む

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