倫敦消息(夏目漱石)のあらすじ・登場人物
留学生漱石が友へ送る日記体通信
- 文字数
- 19,160字
- 読了目安
- 約38分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
1901年、ロンドンに留学中の漱石が、日本の友人たちに向けて日記体で書き送った通信。『ホトトギス』に掲載された。下宿の様子、物価や地下鉄、下宿の主人夫婦の引っ越し騒動、下女ペンの雄弁などを、くだけた口調でユーモラスに描き、貧しい留学生活と英国人の観察をないまぜにする。作家になる前の漱石の観察力と諧謔が楽しめる。
あらすじ
四月九日、イースターの休みに、「僕」はこの通信を書き始める。目覚めから朝食、新聞を読むまでの出来事を日記体で綴り、地下電気を乗り換えて先生の家へ出かけるまでを書く。第二信では、安い下宿に住み続ける理由を、本を買いたい気持ちや学生としての感覚で説明し、背の高い英国人に囲まれて肩身の狭い思いをすることをぼやく。下宿は元は女学校で、経営の行き詰まった夫婦が移転を決め、漱石にも一緒に来てほしいと言う。そこへ、新聞の広告で見つけた別の下宿から、高い料金の返事が来る。結局、元の主人の新宅に移ることにする。第三信では、コックニー訛りの強い下女のペンを紹介する。ペンは「bedge pardon」が口癖である。差配人が来て立ち退きをめぐる騒ぎが起き、主人夫婦は夜のうちに荷物を運び出す。漱石は荷物を提げて新宅に移り、主人の妻の見え透いた知識自慢を聞かされる。末尾で、この日記は病気の子規を慰めるために書いたと明かされる。
冒頭部(原文より)
(前略)それだから今日すなわち四月九日の晩をまる潰しにして何か御報知をしようと思う。報知したいと思う事はたくさんあるよ。こちらへ来てからどう云うものかいやに人間が真面目になってね。
「倫敦消息」夏目漱石(青空文庫)
末尾部(原文より)
この多事なる世界は日となく夜となく回転しつつ波瀾を生じつつある間に我輩のすむ小天地にも小回転と小波瀾があって我下宿の主人公はその尨大なる身体を賭してかの小冠者差配と雌雄を決せんとしつつある。しかして我輩は子規の病気を慰めんがためにこの日記をかきつつある。四月二十六日。
「倫敦消息」夏目漱石(青空文庫)
原文を読む
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