松江印象記(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
水の都・松江を歩く
- 文字数
- 3,124字
- 読了目安
- 約6分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
- 舞台
- 島根県
この作品について
松江を訪れた若い芥川龍之介が、その印象を二章にまとめた旅の文章。川と木造の橋、千鳥城の天主閣、堀割に沿った街並みと水辺の建築を愛でる一方、銅像建設のために古い鏡を集めている小屋や嫁が島の防波工事には強い反感を述べる。末尾で、この印象記を井川恭に献じると記す。1915年8月、「松陽新報」に掲載された。
あらすじ
一では、松江に来てまず自分の心をひいたものとして、町を縦横に貫く川と、そこに架かる多くの木造の橋、とくに青銅の擬宝珠をつけた橋を挙げ、鉄橋を架けた日光町民の愚と比べる。次に千鳥城の天主閣を、日本化された西洋築城術の産物として愛し、これを守った松江の人々を祝福する。一方で、松平直政公の銅像建設のため古い美しい青銅の鏡が積まれていることや、嫁が島の防波工事の無細工な石垣には非難を向け、松江に対して同情と反感の両方を感じると述べる。二では、橋や天主閣を愛するのは単に過去のものだからではないと断り、月照寺の廟所や天倫寺の禅院、新しい建築にも触れる。堀割に沿った街の整然としたようすや白楊の並木、そして海を除いたあらゆる水を持つ松江は、水辺建築に恵まれた美しい都市になれると説き、盂蘭盆会の水辺の灯籠を見た人ならこの言葉に頷くだろうと思うと記す。最後にこの印象記を井川恭氏に献じる。
冒頭部(原文より)
松江へ来て、まず自分の心をひいたものは、この市を縦横に貫いている川の水とその川の上に架けられた多くの木造の橋とであった。河流の多い都市はひとり松江のみではない。
「松江印象記」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
自分は最後にこの二篇の蕪雑な印象記を井川恭氏に献じて自分が同氏に負っている感謝をわずかでも表したいと思うことを附記しておく(おわり)
「松江印象記」芥川龍之介(青空文庫)
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