『春の岬』序詩(三好達治)のあらすじ・登場人物
古きまづしき歌をまとめて
- 文字数
- 520字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 旧字旧仮名
この作品について
1939年(昭和14年)4月、創元選書として刊行された三好達治の合本詩集『春の岬』の巻頭に置かれた序詩。古い貧しい自分の歌をまとめて一巻とした感慨を、文語のやわらかな調子でつぶやく。詩集をまとめたときの詩人の述懐が分かる。
あらすじ
詩は、まず詞書で、「わが古きまづしきうたのたぐひここにとり集へてひと巻のふみをばなしつ、名づけて春の岬といふ」と、詩集をまとめた事情を述べる。序を添えよと人に言われ、「あな蛇足をしひたまふものかな」とつぶやいたところから詩が始まる。若き十年あまりの年月がいつの間にか過ぎ、あとこそないが、そこばくのうたは残った、と歌う。長い夜の燈火のもとでそれらを集め、二つ三つ手に取って見ると、つたなくて読み返すのもものうい。しかし、その歌々は銭もなく旅をした遠い日の山川国々の思い出の形見であり、「いささかのまことを陳べし」ものだと結ぶ。
冒頭部(原文より)
わが古きまづしきうたのたぐひここにとり集へてひと卷のふみをばなしつ、名づけて春の岬といふ、ふみのはじめに感をしるして序を添へよとは人の命ずるところなり、あな蛇足をしひたまふものかな、よしやつたなかるともわがうたのかずかずうちかへしわが感をのべたるものを、とてその夜わびしらに率然とおのれつぶやけるつぶやき
「『春の岬』序詩」三好達治(青空文庫)
末尾部(原文より)
(錢もなき旅もせしかな) 讀む人よあはれと思へ わがうたはそれらのかたみ おほかたは情感うせて おのれにはあぢきなけれど ただたのむ いささかのまことを陳べし 遠き日の思出はあれ
「『春の岬』序詩」三好達治(青空文庫)
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。