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測量船(三好達治)のあらすじ・登場人物

「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪」

三好達治 1930年(昭和5年)12月

文字数
17,577字
読了目安
約35分
表記
新字旧仮名

この作品について

三好達治の第一詩集。1930年(昭和5年)、第一書房より刊行された。フランス象徴詩の影響と日本古典の伝統を融合させ、口語自由詩から文語定型詩までを端正な言葉づかいで自在に往還する。「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。」の一行で名高い「雪」、寺の甃を歩む孤影を清らかに描いた「甃のうへ」、母に乳母車を押すことを呼びかける「乳母車」など、簡潔で気品ある抒情の名編を収め、昭和抒情詩の出発点を刻んだ記念碑的な一冊である。

あらすじ

散文詩・口語自由詩・文語定型詩など多彩な形式の詩篇を収める。冒頭の「春の岬」は旅の終わりの鴎に旅愁を託した一首で、続く「乳母車」では黄昏の並樹の道を行く乳母車に母への切ない呼びかけを重ねる。「雪」はわずか二行で、太郎・次郎それぞれの屋根に降りつむ雪を通じて幼い眠りと静寂を描き出し、「甃のうへ」では花びらの流れる寺の春に、ひとり己の影を歩ませる孤独な心象をうたう。少年期の追憶、旅の情趣、古都や仏寺の静けさ、海への思いなどが、透明で抑制された言葉のなかに凝縮され、集の終わりでは愛犬パンを連れて曇り日の海辺をさまよう詩人の、諧謔をまじえた自問自答が置かれる。

冒頭部(原文より)

春の岬 春の岬旅のをはりの鴎どり 浮きつつ遠くなりにけるかも 雪 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

「測量船」三好達治(青空文庫)

末尾部(原文より)

さあ帰らう、パン 私のサンチョパンザよ、お前のその短い脚で、もつと貴族的に歩くのだ さうだ首をあげて、さう尻尾もあげて あわてものの蟹が、運河の水門から滑つて落ちた その水音が気に入つた、――腹をたてるな、パン、あれが批評だよ

「測量船」三好達治(青空文庫)

名文

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

「雪」全篇。同じ形の二行を並べるだけで、雪の降り積もる夜の静けさと子らの眠りを描き切った現代詩の名品。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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