霾(三好達治)のあらすじ・登場人物
浅間山が笑い灰を撒く
- 文字数
- 5,589字
- 読了目安
- 約11分
- 表記
- 旧字旧仮名
この作品について
三好達治の詩集『霾』。表題作は1932年1月「作品」に発表された散文詩で、浅間山を擬人化して「ロンロンロン・ッハッハ・ッハッハ」と哄笑させるユーモラスな作である。「霾」は黄砂が降る意味。後に『春の岬』に収められた。ほかに「鴉」「自画像」などを含む。
あらすじ
表題作は、冬の初めの晴れた空に浅間山が肩を揺すって哄笑し、「俺はしばらく退屈してゐたんだぞ!」と、麓の村に石を投げ、気流に灰を撒き散らすという散文詩である。山端に出た猟師は落葉松に「やつたぜ、また」と話しかけ、高原を走る小さな電車は停車場で尻ごみして発車が五分遅れる。山は赤い熔岩の舌を出して、またもやはしゃぐ。そのほか、「鴉」「自画像」など、「改造」「セルパン」などに発表した作品が収められている。巻末の一篇では、行雲流水のように往きとどまるものはなく、それならどこへ行くにも及ぶまい、「ここにかうしてゐるとしよう」と語り手が結論する。
冒頭部(原文より)
霾 冬の初めの霽れた空に、淺間山が肩を搖すつて哄笑する、ロンロンロン・ッハッハ・ッハッハ。「俺はしばらく退屈してゐたんだぞ!」そしてひとりで自棄にふざけて、麓の村に石を投げる、氣流に灰を撒き散らす。 山端に出た一人の獵師は、(彼の犬は平氣でさつさと先を急いでゐる)ちやうど彼のふり反つた鼻の先の、落葉松に話しかける。「やつたぜ、また」
「霾」三好達治(青空文庫)
末尾部(原文より)
そらまた手を拍つ 足を踏む 行雲流水 い往きとどまるものはなし わがよたれぞつねならむ…… それなら私はどこへ行くにも及ぶまい ここにかうしてゐるとしよう ここにかうしてゐるとしよう とまれ 今日一日は
「霾」三好達治(青空文庫)
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。