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水の東京(幸田露伴)のあらすじ・登場人物

隅田川から海へたどる水の都

幸田露伴 1902年(明治35年)2月 「文芸倶楽部」

文字数
13,310字
読了目安
約27分
表記
新字旧仮名
種別
随筆
舞台
  • 東京都

この作品について

1902年(明治35年)2月の日付を持つ幸田露伴の随筆。花見や紅葉狩りで語られる「陸の東京」に対して、ほとんど誰も説いてこなかった「水の東京」を紹介しようとする試みで、上流の荒川から筆を起こし、隅田川を軸に、両岸に口を開ける綾瀬川、山谷堀、神田川、小名木川、竪川などの川や堀割を順にたどって、最後に品川沖までの遠浅の海へ至る。渡し場や橋、船の往来、釣り場や月見の名所、伝説や地名の考証から、運河沿いの工業の将来、衛生のための水路改修の提案までが、文語体の簡潔な項目の連なりで記される。首都論『一国の首都』とあわせて岩波文庫に収められている。

あらすじ

陸の東京の名所は語る人が多いが、水の東京を語る者はないとして、露伴は東京の川と海を一巡する。隅田川こそ網における綱だとして、その上流の荒川から説き起こす。豊島の渡、石神井川、尾久の渡を経て千住大橋へ。塩入村のあたりは東西に流れる川面から月が昇る、仲秋の月見に最良の地だと勧める。綾瀬川、鐘が淵(曲尺が淵の意とする自説を述べる)、水神の森、真先稲荷、橋場の渡、竹屋の渡、山谷堀、待乳山、三囲を経て吾妻橋に至り、源森川から横川、竪川へ通じる水路の連絡を説く。厩橋の米蔵跡、新堀や三味線堀の不潔と、下谷の水はけのための改修案、富士見の渡、百本杭の鯉釣り、神田川と外濠、両国橋、竪川や小名木川など本所深川の運河と工業地としての将来を述べ、日本橋川筋、永代橋、佃島の三角洲、築地や汐留、赤羽川までの堀を記す。最後に東京前面の海の遠浅の砂洲と澪筋、汐干狩りや釣りの場所を述べ、水経注の撰者の最期を引いて、自分は詳しく語れなかったから水を得ずに死ぬこともなかろうと戯れて結ぶ。

冒頭部(原文より)

 上野の春の花の賑ひ、王子の秋の紅葉の盛り、陸の東京のおもしろさは説く人多き習ひなれば、今さらおのれは言はでもあらなん。たゞ水の東京に至つては、知るもの言はず、言ふもの知らず、江戸の往時より近き頃まで何人もこれを説かぬに似たれば、いで我試みにこれを語らん。

「水の東京」幸田露伴(青空文庫)

末尾部(原文より)

往時後魏の善長は峻峭耿介にして博覧彊記、天下の奇書を読破して水経の註四十巻を著しゝが、後終に陰磐駅に囲まれて水を得ずして力屈し、賊のために殺さるゝに至りしことあり。予今水の東京を談るといへども、談つて甚だ詳しからず、必ずや水を得ざるの惨にあふことなからん。呵〻。

「水の東京」幸田露伴(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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