日本の盲点子供の本から(坂口安吾)のあらすじ・登場人物
童話と動物記の盲点
- 文字数
- 1,446字
- 読了目安
- 約3分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
1952年(昭和27年)7月、「読売新聞」夕刊に載った坂口安吾の随筆。暑さしのぎに子供向けの本を読み、シートンの「動物記」とアンデルセンの童話に感心した話から、動物の世界の明快さ、そして飼い犬のコリーをめぐる意外な事実へと進む。軽い読み物ながら、教訓くささを嫌う安吾らしい物の見方がうかがえる。
あらすじ
暑さにたえかねて、枕もとに子供用の本を集めて昼寝の前後に読んだ。面白かったのはシートンの「動物記」と、アンデルセンの童話で、日本の作者のものは教訓くさくてつまらなかった。アンデルセンの童話には、善玉でない者が助かったり、悪漢がめでたしになったりする残酷さがあり、教訓も出てこない。「童話だから」という不自然なもどかしさがない点が親しまれる理由かもしれない。「動物記」では、強くてずるい者がたいてい勝つ動物の世界が明快で、シートンが指摘するコリーの二重人格にも感心した。昼は忠実な牧羊犬なのに夜は他の牧場の羊を殺す犬の例を挙げ、犬は主人に忠実という日本の通念に自分も目をだまされていたと省み、日本にはそういう甘い盲点が多いと結ぶ。
冒頭部(原文より)
枕もとに子供用の本をあつめてヒルネの前後によむ。暑さにたえかねて編みだした方法である。 面白さについヒルネも忘れがちだったのはシートンの「動物記」(評論社)だけ。次にアンデルセンの童話がちょっと面白いナと思ったぐらいのもので日本の作者のものは教訓くさくてつまらなかった。
「日本の盲点子供の本から」坂口安吾(青空文庫)
末尾部(原文より)
コリーを飼っている者にはこの挙動は思い当るはずである。すべてが思い当るはずだ。もっとも、狼や羊のいない家庭で飼われているコリーが実際にハイドとなる機会は少いけれども、シートンのいう二重人格の片鱗は常に目にするところで、それを見逃していた私の観察眼がどうかしていたのだ。犬は主人に忠実なものと日本の伝説的な考え方に目がだまされていたのであろう。日本にはそういう甘い盲点が多いようだ。
「日本の盲点子供の本から」坂口安吾(青空文庫)
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