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懶惰の歌留多(太宰治)のあらすじ・登場人物

怠け者のいろは歌留多

太宰治 1939年(昭和14年)4月 「文芸」

文字数
12,369字
読了目安
約25分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

自らの怠惰を俎上に載せた随想。1939年(昭和14年)4月、雑誌「文芸」に発表された。「私の数ある悪徳の中で、最も顕著の悪徳は、怠惰である」と書き出し、怠け者の言い抜けの数々を並べ立てたあと、「い」から「よ」までいろは歌留多の形式で断章を連ねていく。ヴィナスの寓話、不忍池の由来、沼の狐火の思い出などを織り交ぜた、太宰独特の自在な一篇。

あらすじ

怠惰ほど、いろいろ言い抜けのできる悪徳も少い——臥竜、面壁九年、熟慮、大器晩成。並べ立てたのはすべてのらくら者の言い抜けだと自嘲しながら、私は机の前に坐る。だが何もしない。頬杖をつき、御不浄へ立ち、家の者に用を言いつけられて鏝を焼き、大役をすましたような顔で煙草を吸う。やがて私は「懶惰の歌留多」と題して、いろは順に断章を書きつけはじめた。海の泡から生れたヴィナスが恋の相手を占うために辻に立った話、決闘に向かう二人の武士が一つの傘で歩いた不忍池の由来、高等学校の頃に自転車で見に行った沼の狐火——書き継ぐうちにも締切は迫り、原稿は印刷所へ届けなければならない。

登場人物

冒頭部(原文より)

私の数ある悪徳の中で、最も顕著の悪徳は、怠惰である。これは、もう、疑いをいれない。よほどのものである。こと、怠惰に関してだけは、私は、ほんものである。まさか、それを自慢しているわけではない。ほとほと、自分でも呆れている。私の、これは、最大欠陥である。たしかに、恥ずべき、欠陥である。

「懶惰の歌留多」太宰治(青空文庫)

末尾部(原文より)

を、姥捨山のみねの松風。  もって自戒とすべし。もういちど、こんな醜態を繰りかえしたら、それこそは、もう姥捨山だ。懶惰の歌留多。文字どおり、これは懶惰の歌留多になってしまった。はじめから、そのつもりでは、なかったのか? いいえ、もう、そんな嘘は吐きません。  わ、われ山にむかいて眼を挙ぐ。  か、下民しいたげ易く、上天あざむき難し。  よ、夜の次には、朝が来る。

「懶惰の歌留多」太宰治(青空文庫)

原文を読む

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