小説の面白さ(太宰治)のあらすじ・登場人物
小説は女子供のもの
- 文字数
- 1,044字
- 読了目安
- 約2分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
太宰治の短い随筆。1948年(昭和23年)3月、雑誌「個性」に発表された。小説は本来、女子供の読むものだという逆説的な主張を、亭主と女房のやりとりの小芝居や、馬琴、藤村への皮肉とともに語る。権威ある批評や、小説を襟を正して読む態度を茶化した、作者らしい毒のある一編。
あらすじ
小説は本来、女子供の読むものであって、利口な大人が目の色を変えて論じ合うものではない、と作者は言う。亭主が出勤の支度をしながら、女房にどんな小説が面白いかと尋ね、女房が『誰がために鐘は鳴る』の筋書きを語って感激し、亭主はそれを夜のサロンで受け売りする、という小芝居をして見せる。婦女子をだませば成功で、その手のうちを評論家が持ち上げて飯の種にしているのだと皮肉る。馬琴は婦女子のねむけ醒ましのために目を潰した馬鹿な人だとからかい、さらに藤村の『夜明け前』を眠れない夜に読み通したら眠くなり、作品とは関係のない夢を見た、と語って結ぶ。
冒頭部(原文より)
小説と云うものは、本来、女子供の読むもので、いわゆる利口な大人が目の色を変えて読み、しかもその読後感を卓を叩いて論じ合うと云うような性質のものではないのであります。
「小説の面白さ」太宰治(青空文庫)
末尾部(原文より)
余談のようになりますが、私はいつだか藤村と云う人の夜明け前と云う作品を、眠られない夜に朝までかかって全部読み尽し、そうしたら眠くなってきましたので、その部厚の本を枕元に投げ出し、うとうと眠りましたら、夢を見ました。それが、ちっとも、何にも、ぜんぜん、その作品と関係の無い夢でした。あとで聞いたら、その人が、その作品の完成のために十年間かかったと云うことでした。
「小説の面白さ」太宰治(青空文庫)
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