創作家の態度(夏目漱石)のあらすじ・登場人物
創作家の心の持ち方を考える
- 文字数
- 65,036字
- 読了目安
- 約2時間10分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
1908年2月、東京青年会館で行われた漱石の講演。創作家の物の見方・心の持ち方を考えるにあたり、文学史に頼る研究の弊を四点挙げ、主観的な情操を重んじる文学と客観的に描く文学の二つの態度に分けて論じる。性格の描写や心理の解剖など、客観描写の新しい可能性にも触れる。
あらすじ
漱石はまず、態度とは心の持ち方、物の観方のことだと断り、月の形や四角の見え方の例で、人は世界を違った角度から見ながら、一致した見方も共有していると言う。創作家の態度を調べる方法として歴史的研究があるが、それには弊があるとして四点を挙げる。新しいことを価値と取り違えやすいこと、西洋の文学史を唯一の真と見て日本に押し当てがちなこと、作品を主義の名で一括りにして分解できなくなること、主義の意味が転々と変化して混乱することである。代わりに、作品が現れた歴史ではなく、作者の態度に注目し、文学を、情操を目的とするものと、客観的に叙述するものに分けて、その特性と必要を論じる。日本は旧来の絶対的評価を墨守して煩悶していたので、客観的叙述が比較的必要だと見る。そのうえで、性格の全局面の描写、心理状態の解剖、滅多にない現象の描写などを課題に挙げる。将来は情操文学が再び起こると予想して終わる。
冒頭部(原文より)
演題は「創作家の態度」と云うのであります。態度と云うのは心の持ち方、物の観方くらいに解釈しておいて下されば宜しい。この、心の持ち方、物の観方で十人、十色さまざまの世界ができまたさまざまの世界観が成り立つのは申すまでもない。
「創作家の態度」夏目漱石(青空文庫)
末尾部(原文より)
ただし未来の情操文学はいかなる内容をもって、いかなる評価をなすやに至っては固より測りがたいのはもちろんでありますが、それまでに発展した客観描写を利用してこれを評価の方面に使うのは争うべからざる運命と存じます。これを結末の一句としてこの講演を終ります。
「創作家の態度」夏目漱石(青空文庫)
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