田端人(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
田端の師友を描く寸評集
- 文字数
- 1,767字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
芥川龍之介の随筆。1925(大正14)年2月の日付があり、田端に住む自分の師友たちを、下島勲、香取秀真、小杉未醒(放庵)、鹿島龍蔵、室生犀星、久保田万太郎、北原大輔の順に短く紹介する。それぞれの人柄や芸を、親しみとからかいをこめて描く寸評集。
あらすじ
田端の人々を書くと断り、七人の寸評を並べる。医者で俳人井月の句集の編者でもある下島勲、鋳金家で歌人の隣人香取秀真、画家で多芸な小杉未醒、実業家で書や謡・舞に通じた鹿島龍蔵が紹介される。さらに、世話焼きの室生犀星、酒客ながら海鼠腸を食べない久保田万太郎、自分の苦手な画家北原大輔の人物像が続く。いずれも僕より年長の人物には敬意をこめ、同年代には親しいからかいを交えて書いている。芥川が田端でどのような人々に囲まれて暮らしていたかが分かる。
冒頭部(原文より)
この度は田端の人々を書かん。こは必ずしも交友ならず。寧ろ僕の師友なりと言ふべし。 下島勲 下島先生はお医者なり。僕の一家は常に先生の御厄介になる。又空谷山人と号し、乞食俳人井月の句を集めたる井月句集の編者なり。僕とは親子ほど違ふ年なれども、老来トルストイでも何でも読み、論戦に勇なるは敬服すべし。僕の書画を愛する心は先生に負ふ所少からず。
「田端人」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
なほ又次手につけ加へれば、北原君は底抜けの酒客なれども、座さへ酔うて崩したるを見ず。纔に平生の北原君よりも手軽に正体を露すだけなり。かかる時の北原君の眼はその俊爽の色あること、画中の人も及ばざるが如し。北原君の作品は後代恐らくは論ずるものあらん。然れども眼は必ずしも論ずるものありと言ふべからず、即ち北原君の小面憎さを説いて酔眼に至る所以なり。
「田端人」芥川龍之介(青空文庫)
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