探偵小説を截る(坂口安吾)のあらすじ・登場人物
型の模倣を斬る探偵小説論
- 文字数
- 2,819字
- 読了目安
- 約6分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
昭和23年7月、雑誌「黒猫」に発表された坂口安吾の探偵小説批判。ガボリオーからヴァン・ダインに至る、名探偵と無能な警部の掛け合いという型の繰り返しを手厳しく批判し、人間の洞察と合理性の欠如を問う。探偵小説の創作者でもある安吾が、日本の探偵作家の模倣の態度に向けた辛辣な随筆である。
あらすじ
筆者は探偵小説を読むたびに、どれも同じ型で書かれていることにうんざりするという。名探偵が超人的に推理し、対照的に無能な警部が登場してやりとりを重ねる形式は、ガボリオーで完成し、ヴァン・ダインでは鼻持ちならなくなる。日本の探偵作家もその型を鵜呑みにして、小説の三分の二をむだな問答に費やしている。他の芸術は個性や独創を尊ぶのに、探偵小説だけは先人の型に似せることを第一義とし、描写も表現もトリックも幼稚で、合理性を欠く。物理学や数学の知識をひけらかしても価値は増さない。探偵作家は犯罪という人間心理の秘奥を扱う以上、人間の個性と合理性を洞察する力をもたなければならない。西洋の作家もまた幼稚であると述べて結ぶ。
冒頭部(原文より)
私は探偵小説をよむと、みんな同じ書き方をしているので、まずウンザリする。洋の東西を問わず、本格推理小説となると、みんな形式が同一である。
「探偵小説を截る」坂口安吾(青空文庫)
末尾部(原文より)
然し、日本だけではない。西洋に於ても、探偵小説作家は幼稚でありすぎるようだ。
「探偵小説を截る」坂口安吾(青空文庫)
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