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点心(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

新年の机辺に綴る小さな随想

芥川龍之介 1921年(大正10年)

文字数
7,555字
読了目安
約15分
表記
新字旧仮名
種別
随筆

この作品について

芥川龍之介の随筆。1921(大正10)年の正月から2月初めの日付を添えて、身辺の出来事や読書の感想を短い文章で書き継いだ断章集で、御降りの日の幼い記憶、金工の加納夏雄の逸話、内田百間の「冥途」と漱石の「それから」の評、池西言水の句、トルストイの宗教小説、バルザックの印税などを取り上げる。

あらすじ

元日の御降りに子供のころの嫉妬の記憶を思い出す「御降り」から始まり、題の付いた小品が日付順に続く。香取秀真から聞いた加納夏雄の逸話、内田百間の夢を書いた小品への共感、「それから」の主人公長井代助が与えた影響、モリエールとラ・ロシュフコーの対比、池西言水の句に漂う鬼気などが語られる。古本屋で見つけた漢訳のトルストイ宗教小説、バルザックの印税、日米の翻訳文学の関係、ビアスの紹介といった読書の話題に加え、「虫の垂衣」という被り物をめぐる考証もある。最後は、中学時代に見た、背中の赤ん坊に日が当たらぬよう蕗をかざして坂を下りる少女の思い出で結ばれる。

冒頭部(原文より)

御降り  今日は御降りである。尤も歳事記を検べて見たら、二日は御降りと云はぬかも知れぬ。が蓬莱を飾つた二階にゐれば、やはり心もちは御降りである。下では赤ん坊が泣き続けてゐる。舌に腫物が出来たと云ふが、鵞口瘡にでもならねば好い。ぢつと炬燵に当りながら、「つづらふみ」を読んでゐても、心は何時かその泣き声にとられてゐる事が度々ある。私の家は鶉居ではない。

「点心」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

何の為めかと思つたら、それは真夏の日光が、すやすや寝入つた赤ん坊の顔へ、当らぬ為の蕗であつた。僕等二人はすれ違ふ時に、そつと微笑を交換した。が、少女はそれも知らないやうに、やはり静に通りすぎた。かすかに頬が日に焼けた、大様の顔だちの少女である。その顔が未にどうかすると、はつきり記憶に浮ぶ事がある。里見君の所謂一目惚れとは、こんな心もちを云ふのかも知れない。

「点心」芥川龍之介(青空文庫)

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原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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