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とむらい機関車(大阪圭吉)のあらすじ・登場人物

葬式機関車と呼ばれた四四四号

  • ミステリ

大阪圭吉 1934年(昭和9年)9月 「ぷろふいる」

文字数
19,481字
読了目安
約39分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

1934年(昭和9年)、「ぷろふいる」に発表された大阪圭吉の代表的短編。汽車で乗り合わせた大学生に、元機関手の男が語って聞かせるという形をとる。H駅の機関庫には、二十数件の轢殺事故を起こして「葬式機関車」と呼ばれるD50・444号がいた。事故のたびに操縦室へ花環を吊るす機関手「オサ泉」と助手の杉本。ところがある冬から、この機関車が実に奇妙な轢死事故に、しかも何度も続けて見舞われるようになる。日常のただなかに置かれた不可能状況を理詰めで解き、最後に哀切な真相へ着地させる、戦前本格探偵小説の名品である。

あらすじ

H駅の扇形機関庫に、掛員たちから「葬式機関車」と呼ばれる貨物列車用の大型機関車がいた。D50・444号。大正十二年の製造以来、二十数件の轢殺事故を起こした前科者である。しかも不運なことに、事故のたび乗務していたのは決まって機関手の長田泉三——通称「オサ泉」と、助手の杉本福太郎の二人だった。気の狂った四十女を陸橋の下で轢いた雨の夜から、二人は被害者の霊を供養するため、安物の花環を四十九日のあいだ操縦室の天井に吊るすようになる。その心づかいは仲間内でも評判になった。ところが二年前の冬、この機関車が奇妙な事故に続けざまに見舞われる。霜の烈しい朝、杉本が顔色を変えて操縦室に戻り、帽子を脱いで鼻の下の煤を拭き取った——轢死者の肉片が車輪に引っかかっていたときの合図である。だが掃除をしてみても、どこにも血の跡がない。奇怪な轢死事故は、判で押したように繰り返された。花環を納める町の棺桶屋「十方舎」と、そこに閉じこもって暮らす足の不自由な娘。すべてが明かされるのは、三月十七日の夜に書かれた一通の手紙によってである。

登場人物

冒頭部(原文より)

 ――いや、全く左様ですよ。こう時候がよくなりますと、こうして汽車の旅をするのも、大変楽ですな……時に、貴下はどちらまで?……ああ東京ですか。やはり大学も東京の方で……ああ左様ですか。いや結構な事ですな……え、私? ああ私は、ついこの先方のH市まで参ります。ええそうです。あの機関庫のあるところですよ。

「とむらい機関車」大阪圭吉(青空文庫)

末尾部(原文より)

 いや、学生さん――  ……これで、何故私が鉄道稼ぎを退職る様な気持になったか、そして又何故毎年三月十八日、つまり十方舎の娘の命日に、こうしてH市の共同墓地へ墓参りに出掛けるか、お判りになった事と思います……え? ああそうそう……もうとッくにお判りの事と思いますが、実はこの私が、「葬式機関車」の「オサ泉」事、長田泉三なんです……いやどうも、永々と喋らして頂きましたな……どうやら、ボツボツH駅に近づいたようです……では、これで失礼いたします。

「とむらい機関車」大阪圭吉(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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