十和田湖の裸像に与ふ(高村光太郎)のあらすじ・登場人物
幾千年でも黙って立つてろ
- 文字数
- 212字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 旧字旧仮名
- 舞台
- 青森県
この作品について
高村光太郎が晩年、十和田湖畔に立つ二人の裸婦像(乙女の像)の制作にあたって書いた短い詩。銅とスズの合金でできた像を「いさぎよい非情の金属」と呼び、原始林の圧力に堪えて立ち続けよと呼びかける。人体の生々しさを離れた造型への決意が、硬く引き締まった口語で歌われる。
あらすじ
詩は、銅とスズとの合金が立っている、という断定から始まる。どんな造型が行われようと無機質の図形に違いなく、はらわたや粘液や脂や汗といった生き物のきたならしさはここにない。十和田湖の円錐空間にはまり込み、天然四元の平手打ちをまともに受けて、女の裸像が二人、影と形のように立っている。結びでは、いさぎよい非情の金属が青くさびて地上に割れて崩れるまで、この原始林の圧力に堪え、立つなら幾千年でも黙って立っていろ、と像に呼びかける。
冒頭部(原文より)
銅とスズとの合金が立つてゐる。 どんな造型が行はれようと 無機質の圖形にはちがひがない。 はらわたや粘液や脂や汗や生きものの きたならしさはここにない。 すさまじい十和田湖の圓錐空間にはまりこんで 天然四元の平手打をまともにうける 銅とスズとの合金で出來た
「十和田湖の裸像に与ふ」高村光太郎(青空文庫)
末尾部(原文より)
女の裸像が二人 影と形のやうに立つてゐる。 いさぎよい非情の金屬が青くさびて 地上に割れてくづれるまで この原始林の壓力に堪へて 立つなら幾千年でも默つて立つてろ。
「十和田湖の裸像に与ふ」高村光太郎(青空文庫)
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。