津軽地方とチエホフ(太宰治)のあらすじ・登場人物
津軽はチェーホフ劇のよう
- 文字数
- 2,191字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 旧字旧仮名
この作品について
太宰治の短い評論。1946年(昭和21年)5月、「アサヒグラフ」に発表された。戦災で津軽に疎開した作者が、長兄の蔵書の戯曲集を読み、日本の大正期の戯曲に呆れたのに対して、チェーホフの戯曲だけが面白かったと述べ、「伯父ワーニャ」「桜の園」「三人姉妹」の台詞を引いて、津軽の「文化人」の姿と重ねる。底本は旧字旧仮名。
あらすじ
三幕の戯曲を書き上げた作者は、長兄の本棚から戯曲集を持ち出して読み、日本の大正時代の戯曲の馬鹿らしさに呆れたと述べる。台詞の例を引いて「馬鹿にするな」と言い、有名な作品でも今読むとひどいものが多く、一度大掃除が必要だと言う。そのなかで、チェーホフの戯曲が一番面白かった。「伯父ワーニャ」のアーストロフ、「桜の園」のトロフィーモフの台詞を引いて、知識人の偏狭さや、糞真面目な顔の空虚さを示し、「三人姉妹」のトゥーゼンバッハの、渡り鳥と生活の意味をめぐる台詞に触れる。津軽の「文化人」もやたらに「意味」を求めると皮肉り、所謂サンボリスムの習練などは全く無い、と書く。
冒頭部(原文より)
こなひだ三幕の戲曲を書き上げて、それからもつと戲曲を書いてみたくなり、長兄の本棚からさまざまの戲曲集を持ち出して讀んでみたが、日本の大正時代の戲曲のばからしさには呆れた。
「津軽地方とチエホフ」太宰治(青空文庫)
末尾部(原文より)
津輕地方のインテリゲンチヤたちも、實にこの「意味」の追及に熱心である。月日は流れる水の如く、と言へば、それはどんな意味ですとすぐに反問する。 所謂サンボリスムの習練などは全く無い。
「津軽地方とチエホフ」太宰治(青空文庫)
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