アプリで読む

無料・登録不要

運(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

清水の観音がもたらす皮肉な「運」

芥川龍之介 1917年(大正6年)1月 「文章世界」

文字数
6,914字
読了目安
約14分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 京都府

この作品について

芥川竜之介の王朝物の一編。清水寺の門前で、陶器師の老人が若い青侍に語る、ある娘の身の上話。清水の観音に願をかけた娘が授かった「運」とは——信仰と幸福の皮肉な関係を、王朝説話の枠組みで描く。

あらすじ

清水へ通う往来を見渡す、京の陶器師の仕事場。人通りを眺めていた一人の青侍が、主の陶器師に「相変わらず観音様へ参詣する人が多いようだね」と声をかける。すると老人は、清水の観音に願をかけて「運」を授かった、ある娘の話を語り出す。三日三晩、観音に願をかけつづけた貧しい娘が、お告げのままに縋った相手の男は、じつは盗みを働く男だった。だが娘はその男の授けた品によって暮らしを立て直し、世間並みの幸福を得ていく——。信仰の授ける「運」とは、幸福とは何か。老人の語りを聞き終えた青侍は複雑な思いを抱くが、老人はこともなげに言う。「じゃ観音様を、御信心なさいまし」。青侍も「そうそう、明日から私も、お籠でもしようよ」と応じる。信仰と幸福の皮肉な関係を、王朝説話の枠組みで淡々と描いた、芥川初期の一編である。

登場人物

冒頭部(原文より)

 目のあらい簾が、入口にぶらさげてあるので、往来の容子は仕事場にいても、よく見えた。清水へ通う往来は、さっきから、人通りが絶えない。(……)  その人の往来を、仕事場の中から、何と云う事もなく眺めていた、一人の青侍が、この時、ふと思いついたように、主の陶器師へ声をかけた。 「不相変、観音様へ参詣する人が多いようだね。」

「運」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

「じゃ観音様を、御信心なさいまし。」 「そうそう、明日から私も、お籠でもしようよ。」

「運」芥川龍之介(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品