妾の半生涯(福田英子)のあらすじ・登場人物
民権に狂した女の懺悔と宣言
- 社会
- 文字数
- 64,061字
- 読了目安
- 約2時間8分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
- 舞台
- 岡山県
- 大阪府
- 東京都
この作品について
自由民権運動に身を投じた女性・福田英子(旧姓景山)が、1904年(明治37年)に東京堂から刊行した自叙伝。岡山で「怜悧なる娘」と呼ばれた少女時代から書き起こし、民権思想に目覚めて上京し、のちに大阪事件として知られる計画に加わった経験、獄中の日々、出獄後の恋愛と結婚生活までを「家庭」「上京」「渡韓の計画」「未決監」などの章に分けて語る。フランクリンの自伝を引く「はしがき」で、自らの過去を「蹉跌の上の蹉跌」と認めつつ、今は貧しい人々の救済のために戦うと宣言する、明治の文語体の告白である。
あらすじ
岡山に生まれた妾(景山英子)は、幼いころから利発な娘と誉めそやされ、やがて自由民権の演説に心を奪われる。意に染まぬ縁談を断って私塾を開き、女性や貧しい家の子らに教えるかたわら、岸田俊子の演説に奮い立って女子懇親会を組織するが、政府の圧迫に憤り、ついに故郷を捨てて上京する。東京では板垣退助に面会し、学びながら同志と交わるうち、朝鮮の改革を助けるという計画に加わり、爆発物を運ぶ任務を引き受ける。しかし計画は露見し、妾は大阪で捕らえられて未決監から既決監へと送られる。獄中では女囚たちの境遇を見つめ、看守の無学を嘆きながら日を送り、憲法発布の大赦でようやく出獄すると、大阪では大歓迎を受ける。出獄後、同志の重井と結婚を約して子をもうけるが、重井はやがて心変わりし、妾は彼と絶つ。続いて出会った貧しい書生・福田と夫婦となり、困窮のなかで互いに支え合うが、夫は若くして世を去る。寡婦となった妾は、今度は貧しい女性たちが自活できる道を開くため、女子工芸学校と日本女子恒産会の事業に身を捧げる覚悟を記して筆をおく。
登場人物
- 妾(景山英子) 語り手。岡山出身で、自由民権運動に身を投じ、事件に連座して投獄される
- 岸田女史 民権運動の女性弁士・岸田俊子。少女時代の妾を励ます
- 重井 妾と同じ運動に加わった同志。出獄後の妾と結婚を約するが、のちに心変わりする
- 良人(福田) 妾が出会った貧しい書生。夫として妾と苦楽を共にする
冒頭部(原文より)
昔はベンジャミン・フランクリン、自序伝をものして、その子孫の戒めとなせり。操行に高潔にして、業務に勤勉なるこの人の如きは、真に尊き亀鑑を後世に遺せしものとこそ言うべけれ。妾の如き、如何に心の驕れることありとも、いかで得て企つべしと言わんや。
「妾の半生涯」福田英子(青空文庫)
末尾部(原文より)
三十余年の半生涯、顧みればただ夢の如きかな。アア妾は今覚めたるか、覚めてまた新しき夢に入るか、妾はこの世を棄てん乎、この世妾を棄つる乎。進まん乎、妾に資と才とあらず。退かん乎、襲うて寒と饑とは来らん。生死の岸頭に立って人の執るべき道はただ一、誠を尽して天命を待つのみ。
「妾の半生涯」福田英子(青空文庫)
原文を読む
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