アプリで読む

無料・登録不要

私の経過した学生時代(夏目漱石)のあらすじ・登場人物

勉強しなかった学生時代の回顧

夏目漱石 1909年(明治42年)1月 「中学世界」

文字数
5,107字
読了目安
約10分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

1909年1月、雑誌『中学世界』に載った漱石の回想。中学を退いたこと、予備門の入試、落第、アルバイトでの教師経験など、自分の学生時代を、勉強しなかった者の戒めとして語る。江戸っ子だった漱石の若い頃の逸話が詰まっており、のちの文豪の素顔をのぞかせる。

あらすじ

漱石は、自分は学生時代にほとんど勉強せずに過ごしたので、役に立つ勉強法はないが、不勉強者の戒めとして思い出すままに述べると断る。東京で育ち、十一二歳で小学校を出て府立第一中学に入ったが、英語を教えない正則科にいて、予備門に入るために二松学舎や成立学舎に通った。成立学舎は不潔で窓に戸もなかったが、のちに名を成す人々が通っていた。英語や数学には苦しめられ、入試では数学を隣の人の答案を見て切り抜けたかもしれない。予備門では勉強せず、下宿で遊び暮らして成績が落ち、予科二年で落第した。落第してからは真面目になったが、試験は前夜に調べる程度だった。十九歳頃、月五円の月給で本所の江東義塾の教師を務めて学資を稼いだが、トラホームにかかり、塾は解散した。以後は家から学資を得、大学では文部省の貸費を受けた。何の益するところもなかったと結ぶ。

冒頭部(原文より)

 私の学生時代を回顧して見ると、殆んど勉強という勉強はせずに過した方である。従ってこれに関して読者諸君を益するような斬新な勉強法もなければ、面白い材料も持たぬが、自身の教訓の為め、つまり這麼不勉強者は、斯ういう結果になるという戒を、思い出したまま述べて見よう。

「私の経過した学生時代」夏目漱石(青空文庫)

末尾部(原文より)

 それから、後の学資はいうまでもなく、再び家から仰いでいたが、大学へ進むようになってからは、特に文部省から貸費を受けることとなり、一方では又東京専門学校の講師を勤めつつ、それ程、苦しみもなく大学を卒えたような次第で、要するに何の益するところもなく、私は学生時代を回顧して、むしろ読者諸君のために戒とならんことを望むものである。

「私の経過した学生時代」夏目漱石(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品