ヤミ論語(坂口安吾)のあらすじ・登場人物
世相を斬る道化の論語
- 文字数
- 18,308字
- 読了目安
- 約37分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
1948年2月から7月まで『世界日報』に連載された時評。帝銀事件や闇、ストライキ、浮浪児とスリ、学生の気風、太宰治の死など占領下の世相を題材に、短い章で歯切れよく論じる。世相を「道化芝居」と見て、人権や警察のあり方、文学者の責任にも言及する。
あらすじ
当時の世相を取り上げた短い断章が並ぶ。冒頭の「世は道化芝居」では、自宅に強盗に入る若者や国会の腐敗を、道化の題材が現実になったものとみなす。帝銀事件では、似顔絵の高札や密告の奨励に反対し、人権の尊重は犯人の検挙より大切だと説く。ストライキと労資の客観的な折り合い、子供の知恵に及ばない大人、チークダンスの取締り、学生は信頼すべきだという意見、応援団の気風への批判、慈善と政治献金への皮肉、太宰治の死についての感想、抗議に対する文学者の責任論、地震にこりない日本人への警告を経て、最後に、幸田露伴の肖像切手の話題から、国民に愛読されてこそ文学だと語る。
冒頭部(原文より)
自宅へ強盗を手引きした青年があったと思うと、人数も同じ四人組で自宅で強盗した絹香さんという二十一の娘が現れた。 トリスタン・ベルナールの作品だかに、知らないウチは勝手が分らぬ、それに見つかった時、変テコリンで困らア、というので知人のウチへ稼ぎにはいるマヌケな素人泥棒の道化芝居があった。
「ヤミ論語」坂口安吾(青空文庫)
末尾部(原文より)
三文ダラク論者が大衆の流行に反して、漱石をくさすのは勝手なことだが、国民総意のアカシたる切手の如きものに肖像を入れるに際して、個人的な文芸批評が許さるべきものではない。 国民総意の流行が、いかに低俗でも、それが真に総意的な流行ならば、仕方がないものだ。
「ヤミ論語」坂口安吾(青空文庫)
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。