ゆふすげびと(立原道造)のあらすじ・登場人物
淡く黄いろい花の名を覚えた日
- 文字数
- 240字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
立原道造の詩の題。ゆうすげ(夕菅)は、夕方に咲く黄色い淡い花で、立原の詩や散文にたびたび現れる。この詩では、ある人が口にした花の名を覚えた日の記憶が、悔いにも似た感情とともに静かに歌われる。柔らかな口語と旧仮名づかいの音の響きが美しい短詩。
あらすじ
十四行ほどの詩。悲しみではなかった日の流れる雲の下で、「僕」はあなたの口にする言葉を覚えた。それは一つの花の名で、黄いろの淡い花だった。「僕」は何も知らず、何かを知りたくてうっとりしていた。そして時々、一体何を、誰を待っているのだろうと思う。昨日の風は鳴っていた。林を透かした青空の、香ばしいさびしい光のまんなかに、あの叢に咲いていた花は、今日もその花は、思いなしか悔いのようだ。最後に「僕」は、若い身空で老いすぎた、あなたを悔いなく去らせてしまったほどに、と自らを責める。
冒頭部(原文より)
かなしみではなかつた日のながれる雲の下に 僕はあなたの口にする言葉をおぼえた、 それはひとつの花の名であつた それは黄いろの淡いあはい花だつた、 僕はなんにも知つてはゐなかつた なにかを知りたく うつとりしてゐた、 そしてときどき思ふのだが 一体なにを
「ゆふすげびと」立原道造(青空文庫)
末尾部(原文より)
だれを待つてゐるのだらうかと。 昨日の風は鳴つてゐた、林を透いた青空に かうばしい さびしい光のまんなかに あの叢に咲いてゐた、そうしてけふもその花は 思ひなしだか 悔ゐのやうに――。 しかし僕は老いすぎた 若い身空で あなたを悔ゐなく去らせたほどに!
「ゆふすげびと」立原道造(青空文庫)
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