折句とは

分類
文体・技法
読み
おりく

和歌・俳句などで、物の名や地名などの文字を一字ずつ各句の頭に置いて詠む技法。また、その作品。最も名高いのは在原業平の「唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ」で、五つの句の頭の音をつなぐと「かきつばた」になる。この歌は『古今和歌集』巻第九の羇旅歌に収められ、詞書によれば、東国へ下る途中、三河国の八橋という所で、川のほとりに杜若が美しく咲いているのを見て、「かきつばた」の五文字を句の頭に据えて旅の心を詠んだものという。同じ場面は『伊勢物語』第九段の東下りにも語られ、なれ親しんだ妻を都に残してはるばる来た旅の思いが、花の名に重ねて歌われている。和歌の折句は平安時代の初めから行われ、各句の頭だけでなく末尾にも一字ずつ置いて、十文字の語句を詠み込むものを沓冠(くつかぶり)という。吉田兼好が友人の頓阿に「米たまへ銭も欲し」を折り込んだ歌を贈り、頓阿が「米は無し銭少し」を折り込んで返したという逸話はよく知られる。江戸時代には雑俳の一様式として流行し、五・七・五の各句の頭に題の三字を一字ずつ置く形がもてはやされた。表の意味と隠された文字の二つを一首に両立させる、遊び心と技巧の結びついた詠み方である。

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