西遊記とは

分類
形式・ジャンル
読み
さいゆうき

中国明代の長編の白話小説で、100回から成る。16世紀後半に成立し、作者は呉承恩とする説が広く行われているが、確証はない。唐の僧玄奘が貞観3年(629年)に長安を発ち、インドで仏典を求めて645年に帰国した史実が題材で、玄奘自身は旅の見聞を『大唐西域記』にまとめた。この求法の旅は伝説となってふくらみ、南宋の『大唐三蔵取経詩話』や元の雑劇などを経て、百回本の長編にまとまった。前半は、石から生まれた猿の孫悟空が仙術を身につけて天界で大暴れし、釈迦に五行山の下へ封じられるまでを描く。後半は、三蔵法師に救われた悟空が、猪八戒・沙悟浄とともに師を守って西天へ向かい、妖怪たちの起こす八十一の災難を乗り越えてゆく。奔放な空想と滑稽さに、仏教・道教の考えが織り込まれ、『三国志演義』『水滸伝』『金瓶梅』とともに四大奇書に数えられる。日本でも江戸時代から翻訳や絵本で親しまれ、中国では河に棲む妖怪である沙悟浄が、日本では河童の姿で思い描かれることが多い。近代では、芥川龍之介が随筆『愛読書の印象』で少年時代に愛読した書として「水滸伝」と並べて挙げている。中島敦は昭和17年(1942年)、「わが西遊記」と題する構想のもとに『悟浄出世』『悟浄歎異』を発表し、思い悩む悟浄を主人公に据えて、生きることへの問いと、悟空・八戒・三蔵の生き方を内省的な手記の形で描き直した。

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