翻案とは
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- 文体・技法
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- ほんあん
外国の作品や古典の筋立てを借り、人物・舞台を自国や同時代に置き換えて作り直す創作の手法。原文に即して言葉を移す翻訳とは区別されるが、明治期には両者の境はあいまいで、自由な抄訳や改作も多かった。西洋文学の受容が始まった明治期に翻案は大きな役割を果たし、なかでも黒岩涙香は、明治25年(1892年)に自ら創刊した新聞「萬朝報」の紙上などで、欧米の探偵小説・冒険小説を大胆に日本化した。マリー・コレリの作に基づく『白髪鬼』、デュマ『モンテ・クリスト伯』による『巌窟王』、ユゴー『レ・ミゼラブル』による『噫無情』、ウィリアムソン夫人の作に基づく『幽霊塔』などを次々と発表し、平明な文体で読者を熱狂させて大衆的読み物の土壌を作った。少年時代に涙香に熱中した江戸川乱歩が、のちに涙香の『白髪鬼』を自作として書き改め(昭和6年)、『幽霊塔』も書き直しているように、その影響は後続の作家へ深く及んでいる。翻案は西洋作品に限らず、太宰治が井原西鶴の諸作を現代の小説として語り直した『新釈諸国噺』、中国の『三国志演義』に基づく吉川英治『三国志』のように、古典へ新しい生命を吹き込む方法としても近代文学に定着した。