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新釈諸国噺(太宰治)のあらすじ・登場人物

西鶴を自在に語り直す十二話

  • 歴史
  • 心理

太宰治 1945年(昭和20年)1月

文字数
93,575字
読了目安
約3時間7分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

太宰治が1945年(昭和20年)1月に刊行した短編集。井原西鶴の作品から選んだ小品を骨子に、太宰が自由な空想を加えて再話した十二の物語から成る。太宰は凡例で、これは古典の現代語訳ではないと断っており、西鶴の着想を借りながら、近代人の心理と太宰一流の諧謔・情感を吹き込んだ翻案集となっている。戦時下に書き継がれ、戦中の太宰の代表作のひとつとして読まれた。

あらすじ

「わたくしのさいかく」——太宰は、世界で一ばん偉い作家と敬愛する井原西鶴の全著作から、武家義理物語や世間胸算用、西鶴諸国はなしなどの小品を選び、その着想を借りて自在に書き改めた物語を編む。原文では原稿用紙わずか数枚の話が、太宰の手にかかると十倍の分量にふくらみ、義理や意地に生きる武士、金銭に翻弄される町人、思いがけぬ人情の機微が、生き生きとよみがえる。武家の意地を描く「裸川」、遁世した男の顛末を描く一話など、笑いと哀しみのいりまじる十二篇を通じて、太宰は古典の再話に近代小説の呼吸を与えてみせる。西鶴への敬意と、物語る楽しさにあふれた連作である。

冒頭部(原文より)

わたくしのさいかく、とでも振仮名を附けたい気持で、新釈諸国噺という題にしたのであるが、これは西鶴の現代訳というようなものでは決してない。古典の現代訳なんて、およそ、意味の無いものである。作家の為すべき業ではない。私は西鶴の全著作の中から、私の気にいりの小品を二十篇ほど選んで、それにまつわる私の空想を自由に書き綴り、「新釈諸国噺」という題で一本にまとめて上梓しようと計画している。

「新釈諸国噺」太宰治(青空文庫)

末尾部(原文より)

このたびのまことに無分別の遁世、何卒あわれと思召し、富籤と観音像と、それから色紙の事お忘れなく、昔の遊び仲間の方々にもよろしくお伝え下され、陽春の頃には、いちど皆様そろって吉野へ御来駕のほど、ひたすら御待ち申し上げます。頓首。

「新釈諸国噺」太宰治(青空文庫)

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