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鳳来寺紀行(若山牧水)のあらすじ・登場人物

仏法僧を聴く山の旅

若山牧水 

文字数
9,274字
読了目安
約19分
表記
旧字旧仮名
種別
随筆
舞台
  • 愛知県

この作品について

若山牧水が、愛知の鳳来寺山に仏法僧の声を聴きに行った旅の紀行。沼津から身延、梅ヶ島、浜名湖、新城と山を巡り、若葉の頃の鳥の声を求める。鳥の声と山の寂しさが、旅の気持ちと重なる。

あらすじ

沼津から富士の五湖をめぐり、身延に登り、梅ヶ島という山奥の温泉に浸り、浜名湖を渡って奥山半僧坊に詣で、三河新城に病臥する友人を見舞い、なお鳳来山に登って山中の古寺に泊まろうと、筆者は空想する。古来評判の仏法僧鳥の声はもちろん、ほととぎすやかっこう、黒つぐみなど、若葉の頃の鳥の声を心ゆくまで聴きたいという。実際に山に登ると、滞在六日のうち二晩だけ完全に仏法僧を聞くことができた。二晩とも闇夜だったが、月夜だったらなお良かったろうと思い、またいつか月の頃に登ってこの寂しい鳥の声に親しみたいと結ぶ。

冒頭部(原文より)

 沼津から富士の五湖をつて富士川を渡り身延に登り、その奧の院七面山から山づたひに駿河路に越え、梅ヶ島といふ人の知らない山奧の温泉に浸つて見るも面白からうし、其處から再び東海道線に出て鷲津驛から濱名湖を横ぎり、名のみは久しく聞いてゐる奧山半僧坊に詣で、地圖で見れば其處より四五里の距離に在るらしい三河新城町につて其處の實家に病臥してゐるK――君を見舞ひ、なほ其處から遠くない鳳來山に登り、山中に在るといふ古寺に泊めて貰つて古來その山の評判になつて居る佛法僧鳥を聽いて來よう、イヤ、佛法僧に限らず、さうして歴巡る山から山に啼いてゐるであらう杜鵑だの郭公だの黒つがだの、すべて若葉の頃に啼く鳥を心ゆくまで聽いて來度いとちやんと豫定をたててその空想を樂しみ始めたのは五月の初めからであつた。折惡しく用が溜つてゐて直ぐには出かけられず、急いでそれを片附けてどうでも六月の初めには發足しようときめてゐた。

「鳳来寺紀行」若山牧水(青空文庫)

末尾部(原文より)

 二十日に私は山を下つた。滯在六日のうち、二晩だけ完全にこの鳥を聞くことが出來た。二晩とも闇であつたが、月夜だつたら一層よかつたらうにと思はれた。また、月夜にはとりわけてよく啼くのださうである。いつかまた月のころに登つてこの寂しい鳥の聲に親しみたいものだ。

「鳳来寺紀行」若山牧水(青空文庫)

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原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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