文語詩稿 五十篇(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
晩年に結んだ文語の凝縮
- 文字数
- 6,584字
- 読了目安
- 約13分
- 表記
- 新字旧仮名
- 舞台
- 岩手県
この作品について
晩年の賢治が病床で書きためた文語詩のうち、定稿を集めた詩集。1933年8月に『文語詩稿 五十篇』と『文語詩稿 一百篇』として整えられ、賢治は生前に刊行できなかった。七五調を基調に、農村の暮らしや山河、僧や農夫、地質学的な語彙が凝縮された文語で書かれる。口語詩の自由さとは違う、研ぎ澄まされた最晩年の詩業。
あらすじ
各詩は題のほか、〔いたつきてゆめみなやみし〕のように最初の句を括弧で示して始まる。病の夢に悩むうちに高麗の軍楽が鼓を打って過ぎてゆく幻、神がたたかいに敗れて行方も知れない古い物語、〔雪うづまきて日は温き〕の荼毘壇で県議院殿大居士の柩がおろされる情景など、土地の人々や出来事が短い詩の中に刻まれる。〔温く妊みて黒雲の〕では野ばらの藪や、からす麦を播く農夫に狂おしく鳴く雲雀が現れる。「暁」では郭公や雲雀が鳴き交わす朝に巨人が現れ、草の葉を薬として食べよと教える。〔吹雪かゞやくなかにして〕では、燃える吹雪のなかで犬が吠えつどう。農事、宗教、地質、伝説が七五調のなかで交錯する。
冒頭部(原文より)
〔いたつきてゆめみなやみし〕 いたつきてゆめみなやみし、 (冬なりき)誰ともしらず、 そのかみの高麗の軍楽、 うち鼓して過ぎれるありき。 その線の工事了りて、 あるものはみちにさらばひ、 あるものは火をはなつてふ、 かくてまた冬はきたりぬ。
「文語詩稿 五十篇」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
やがては古き巨人の、 石の匙もて出できたり、 ネプウメリてふ草の葉を、 薬に食めとをしへけり。 〔吹雪かゞやくなかにして〕 吹雪かゞやくなかにして、 まことに犬の吠え集りし。 燃ゆる吹雪のさなかとて、 妖しき※をなせるものかな。
「文語詩稿 五十篇」宮沢賢治(青空文庫)
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