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地名の研究(柳田国男)のあらすじ・登場人物

地名は、最も古い言語の化石である

柳田国男 1936年(昭和11年)

文字数
175,791字
読了目安
約5時間52分
表記
新字新仮名

この作品について

日本民俗学の創始者・柳田国男が、三十年にわたって書きためた地名研究の集大成。田代・軽井沢といった何気ない地名の分布から、そこに暮らした人々の生業と信仰と移動を読み解いてゆく。「地名は最も古い言語の化石である」という視点で、日本列島の歴史を土地の名から復元しようとした一冊である。

あらすじ

「始めて自分が日本の地名を問題にしたのは、この本の中にもある田代・軽井沢であった」——自序で柳田は、田代という地名がどこへ行ってもかなりの山中にばかりある理由に何かあるらしいと思ったのが発端だと明かす。それから優に三十年。あまりに小さく煩瑣な仕事であるがゆえに、多くの人がこれに入ろうとしなかったのだ、と。本書は「地名の話」「地名と地理」「地名と歴史」「地名考説」といった論考を集めたもので、通しての骨格は明快である。地名は偶然につけられたものではなく、そこで暮らした人々が土地をどう使い、何を恐れ、何を祀ったかの記録である。だから同じ語をもつ地名の分布を全国にわたって調べれば、その語の意味も、それを名づけた人々の生活も浮かび上がってくる。柳田は、焼畑を意味する「ソリ」「カノ」、湿地を示す「ヤ」「ヤチ」、峠と交通を示す「タワ」「オロシ」など、無数の語を各地の実例とともにたどってゆく。土地の高低や水利といった地理的条件だけでなく、地頭や荘園の歴史、狩猟民や漂泊民の移動、神を祭った場所の痕跡までが、地名を通して見えてくる。巻末近くでは「矢」を含む地名が各地でどのように語られてきたかがたどられ、木や石に矢を掛けて神を祭り武運を祈った習俗が、領内安全の祈祷にほかならなかったことが示される。

冒頭部(原文より)

自序  始めて自分が日本の地名を問題にしたのは、この本の中にもある田代・軽井沢であった。田代がどこに往ってもかなりの山の中にばかりある理由が何かあるらしく思われたのが元であった。算えてみるともうその頃から、優に三十年を越えている。

「地名の研究」柳田国男(青空文庫)

末尾部(原文より)

矢をもって神を祭り武運を祈るというのも、また領内の安全の祈祷であろう。中世武家の武運というのはすなわち家運のことである。江戸でいえば町内安全のこと。矢祭を特に上品の習慣らしくいうのは故実家の一家言である。支那でも日本でも富貴康寧はまことに凡人の大事件で、このことだけは古今東西の差別を見ない。

「地名の研究」柳田国男(青空文庫)

原文を読む

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