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年中行事覚書(柳田国男)のあらすじ・登場人物

消えゆく行事に神の祭りを探る

柳田国男 1955年(昭和30年)

文字数
135,314字
読了目安
約4時間31分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

柳田國男が日本の年中行事について書いた文章をまとめた一冊で、巻頭の「著者の言葉」は1955年(昭和30年)8月の日付をもつ。門松や雛祭りの由来を毎年繰り返し説くのではなく、まだ知られていないこと、誰も気をつけないうちに消えかけている行事が多いことを示したい、というのが著者の方針である。正月や盆ばかりでなく、節供や霜月の大師講、七夕の眠り流し、案山子祭、二十三夜の月待ちといった月々の行事を取り上げ、各地の呼び名や言い伝えを比べながら、神を迎え送る古い祭りの形をたどっていく。全国の民俗を集めた『歳時習俗語彙』の序や、読者が自分の土地で調べるための「年中行事採集百項」も収め、読み物であると同時に調査の手引きともなっている。

あらすじ

「著者の言葉」で柳田は、年中行事を昔からこうするものだと説くだけでも、季節ごとに門松や雛祭りの由来を繰り返すだけでもなく、まだ知られていないことや消えかけている行事が多いことを伝えたいと述べる。第一部「年中行事」は、古い家や寺社が書き留めた年中行事と、記録のない普通の家々で営まれてきた行事との違いから説き起こす。ふだんの日と区別される特別な日を何と呼んだか、「節句」は本来「節供」で、神や祖先の霊と人とが同じ食べ物をともにする日であったこと、餅と節供の関わり、霜月の大師講の夜に足跡を隠す雪が降るという言い伝えなどを手がかりに、神が訪れては去っていく古い祭りの姿を浮かび上がらせる。続く「歳時小記」では、正月十六日のにお積みや二月八日の大まなこ、春の彼岸の日のお伴、三月三日の山磯遊び、卯月八日、五月五日の耳くじりなど、月日ごとの小さな行事を短く紹介する。さらに、春おこない、三月節供、卯月八日、六月朔日の雪といった行事、七夕の朝に子どもが川で眠りを流す「眠流し」、七夕の朝に畑へ入ることを禁じる言い伝えを扱う「犬飼七夕譚」、おくんち、十月十日の夜、亥の子、案山子祭、二月と十二月の八日の節供を論じる「ミカワリ考の試み」、二十三夜塔と月待ち・日待、霜月の物忌などの論考が続く。終わりには、年中行事の言葉が盆と正月に偏って集まる理由を考えた『歳時習俗語彙』の序と、節折目から年籠りまで、読者が土地ごとに確かめるための問いを並べた「年中行事採集百項」が収められている。

冒頭部(原文より)

 日本の年中行事が、近頃再び内外人の注意をひくようになったことは事実だが、その興味の中心というべきものが、これからどの方角へ向おうとしているのか、久しくこういう問題に携わっている者には、かえって見当をつけることがむつかしい。しかし少なくとも子供に言って聴かせるように、これは昔からこうするものなのだと、説いただけでは話にもならぬし、またこのごろのジャーナリズムの如く、正月が来れば門松の由来、三月が来れば雛祭の根原などと、きまりきったことを毎年くりかえしていたのでは、観光団の通弁にはなっても、考える人の役には立たぬだろう。

「年中行事覚書」柳田国男(青空文庫)

末尾部(原文より)

一〇〇 その他の節日 前各項に列挙した以外に、地方で一般に休みまたは祝している定日があるならば、それをこの条に掲げられたい。中でも次の日は注意する必要がある。四月二十二日。六月七日。九月一日。十月十五日。十一月一日。夏至。冬至。

「年中行事覚書」柳田国男(青空文庫)

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