ダルマ船日記(山之口貘)のあらすじ・登場人物
ダルマ船で過ごす貧乏詩人の日々
- 文字数
- 7,909字
- 読了目安
- 約16分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
- 舞台
- 東京都
この作品について
山之口貘が、東京の運河に浮かぶ「ダルマ船」で居候のように暮らした日々を、日記体で綴った文章。船頭の六さんとの交流や、船の暮らしの細部が、貧しい生活を笑いに変える貘らしい調子で描かれる。『中央公論』に載った散文として知られる。
あらすじ
「×月×日 金」の体裁で始まる。目覚めると、隣に寝ていたはずの六さんはもう甲板で湯を沸かしている。船の名は水神丸、積載量百トンの、通称ダルマと呼ばれる型。年は三十五歳、生まれは深川で、老人のような風貌をしている。艫の三畳ほどの船室に船頭と「僕」が一緒に暮らし、押入や神棚があり、壁には六さんの外出着が掛けてある。居候の「僕」は寝坊をとがめられながらも、船の暮らしに馴染んでいく。夜、隣の宮下丸も寝静まり、六さんの鼾が聞こえ、起きているのは「僕」と水の音だけとなる。翌日の晩には六郷河岸で花火が上がるという。
冒頭部(原文より)
×月×日 金 眼を覚ましてみると、側に寝ていた筈の六さんの姿は見えなかった。 居候のくせに、なぜこうも寝坊するのであろうか。 桝のような船室から首を出して、甲板を見廻わすと、既に、七輪の薬罐が湯気を吹きあげていた。 この船の名は、水神丸。積載量百トン。型は、通称ダルマと言っている。年齢は、三十五歳。生れは深川。
「ダルマ船日記」山之口貘(青空文庫)
末尾部(原文より)
もはや、お隣りの宮下丸は寝てしまったのか話声もきこえない。やがて、六さんが鼾をかき出した。魚達も寝たのであろう。起きているものは、僕と水の音。 明日の晩には、六郷河岸に花火があがるという。 (「中央公論」一九三七年一二月号)
「ダルマ船日記」山之口貘(青空文庫)
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