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詩とはなにか(山之口貘)のあらすじ・登場人物

四十年たっても答えられない

山之口貘 1958年(昭和33年)9月 「全繊新聞」

文字数
5,372字
読了目安
約11分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

詩を書き始めて四十年近い山之口貘が、「詩とはなにか」「なんのために詩を書くのか」と問われて当惑する自分を、ユーモアを交えて語る随筆。定義の難しさを率直に認めながら、詩人としての姿勢をやさしい言葉で語る。「鮪に鰯」の着想が出てくる場面でも知られる。

あらすじ

詩を書き出してから四十年近くになるが、詩とはなにかと問われると、年月もぐらつくようで当惑して答えるしかない。何のために書くのかと問われても、灰皿やマッチのようにすぐには答えが出ない。たとえばある詩人によると詩は叫びであるというが、貘自身は定義を立てにくいと感じている。そんな随想のなかで、鮪と鰯の話が現れ、地球の上はみんな鮪で、鮪は原爆を憎み水爆に脅かされて腹立ちまぎれに現代を生きている、と語られる。食膳でビキニの灰を話題にすると、妻が箸を逆さに持ちかえて焦げた鰯の頭をこづき、火鉢の灰だとつぶやく、という結びになる。

冒頭部(原文より)

 詩を書き出してから、すでに四十年に近いのであるが、さてしかし、詩とはなにかと来られると四十年の年月もぐらつくみたいで先ず、当惑をもって答えるしかないのである。ではなんのために詩を書くのかと来られてはこれもまた直立不動の姿勢にでもなって、ただ口をもぐもぐしているよりほかはないみたいなのである。

「詩とはなにか」山之口貘(青空文庫)

末尾部(原文より)

水爆にはまた脅やかされて 腹立ちまぎれに現代を生きているのだ ある日ぼくは食膳をのぞいて ビキニの灰をかぶっていると言った 女房は箸を逆さに持ちかえると 焦げた鰯のその頭をこづいて 火鉢の灰だとつぶやいたのだ (「全繊新聞」一九五八年九月七日〜二一日)

「詩とはなにか」山之口貘(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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