沖縄帰郷始末記(山之口貘)のあらすじ・登場人物
三十五年ぶりに沖縄へ帰る
- 文字数
- 1,924字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
- 舞台
- 沖縄県
この作品について
山之口貘が三十五年ぶりに郷里の沖縄へ帰り、帰京したのち『産経新聞』に寄せた随筆。当時の沖縄は渡航に身分証明が必要で、滞在期間も一ヵ月に限られていた。貧乏詩人の帰郷が思いがけない注目を浴びる様子を、貘らしいユーモアで綴る。
あらすじ
三十五年ぶりに郷里へ帰り、ついこの頃帰京した、と書き出す。大臣の証明する身分証明を懐に出かけたが、現地で事情が重なり、滞在を一ヵ月延ばして満二ヵ月を過ごしたのち東京に戻った。三十五年ぶりという数字は、何年ぶりかと聞かれて答えただけだったが、沖縄が世界の注目する場所であり、さらに貧乏詩人だということも手伝って、周囲のうわさとなり、盛大な歓迎を受けたらしい。帰京後は、あいさつ状を書く間もなく新聞社の人が訪ねてきて、最近の心境でよいから随筆を、と頼まれた経緯が語られる。
冒頭部(原文より)
三十五年ぶりで郷里に帰り、ついこのごろになって帰京した。 沖縄での滞在期間一ヵ月に限られているところの岸信介大臣の証明する身分証明を懐にして行ったのであるが、沖縄へ行ってみると、色々の事情が次から次へとできて、さらに現地での滞在を一ヵ月のばしてもらって満二ヵ月を過し、往復ともに一ヵ月半ほどで東京に舞い戻ったわけである。
「沖縄帰郷始末記」山之口貘(青空文庫)
末尾部(原文より)
そこへ、本紙のY氏があらわれた。仕方がないので、机の上のあいさつ状を一枚手渡したのである。やがて、「随筆」を、とのことなので、一信の原稿も書かないうちに沖縄のことかとおもって尻込みしたが、まあ最近の心境みたいなものというわけなのであった。 (「産経新聞」一九五九年二月二七日)
「沖縄帰郷始末記」山之口貘(青空文庫)
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