電車(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
電車の中の皮肉合戦
- 文字数
- 1,247字
- 読了目安
- 約2分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
宮沢賢治の短い会話劇。電車の中で出会った若い古物商と大学生が、皮肉の応酬を交わす。戯曲のようなかっこ書きの台詞だけで進み、ゲーテ『ファウスト』のメフィストやアウエルバッハを持ち出した言い回しやドイツ語が飛びかう。登場人物は「第一双の眼の所有者」「第二双の眼の所有者」と書かれている。
あらすじ
電車の中で、紋付に黄色い風呂敷を抱えた若い古物商(第一双の眼)が、制服制帽に大きな眼鏡をかけた大学生(第二双の眼)に、へりくだった口調で話しかける。古物商は「メフィストさんのご子息」と呼んで学生を怒らせ、赤い丸眼鏡や帽子を褒めるふりをしてからかう。学生はドイツ語で言い返すが、古物商もやり返し、二人は降りぎわまで皮肉をぶつけ合って別れる。
登場人物
- 第一双の眼の所有者 むしゃくしゃした若い古物商。紋付に黄色い風呂敷
- 第二双の眼の所有者 大学生。制服制帽に大きな眼鏡
冒頭部(原文より)
第一双の眼の所有者 (むしゃくしゃした若い古物商。紋付と黄の風呂敷) 第二双の眼の所有者 (大学生。制服制帽。大きなめがね。灰色ヅックの提鞄) 第一双の眼(いや、いらっしゃい、今日は。よいお天気でございます。) 第二双の眼(何を哂ってやがるんだ。) (失礼いたしました。へいへい。えゝと、あなたさまはメフィストさんのご子息さん。今日はどちらへ。) (何だ失敬な。)
「電車」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
(又にやけてやがる。どうせきさまは周旋屋か骨董屋だらうぜ。そこでな、おれが判事になったとき丁度めぐり合ふとしようか。ああもう降りるかい。えゝと落ちぶれた成金さんによろしく。) (さよなら。ひよっこさん。大きなまちの挨の中だ。くるくる廻ってへたばらないやう御用心。) (えい。勝手にしろ。お別れにたゞ一言ご忠告いたします。電車がとまってからお降りなさいだ。) (プイ。)
「電車」宮沢賢治(青空文庫)
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