月令十二態(泉鏡花)のあらすじ・登場人物
十二か月の風物を描く散文
- 文字数
- 2,532字
- 読了目安
- 約5分
- 表記
- 旧字旧仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
末尾に大正9年(1920年)1月から12月と記された、月ごとの風物を綴る散文詩風の小品。一月から十二月まで十二の短い章で、季節の花や鳥、遊びや行事、山や海のようすを、漢語と和語をまじえた華やかな文語でつづる。筋はなく、季節の移り変わりそのものを味わう。
あらすじ
内容の要旨。一月から十二月まで、月ごとに一章を立て、それぞれの季節の風物を詩的に描く。一月は雪の山に昇る日、鞠唄と羽根つき。三月は雛の人形と桃の船、五月は藤と躑躅、牡丹に蜂の羽音。六月は祭りの太鼓と山車、紫陽花、七月は灼熱の夏の更紗、八月は向日葵と瓜、九月は朝顔と初雁、十月は紅葉の山と秋の月、十一月は城と狩、十二月は時雨と大根干しの寺、山の澄んだ水と水仙。四季の景色が次々に現れ、最後は春を待つ空気で終わる。
冒頭部(原文より)
山嶺の雪なほ深けれども、其の白妙に紅の日や、美しきかな玉の春。松籟時として波に吟ずるのみ、撞いて驚かす鐘もなし。萬歳の鼓遙かに、鞠唄は近く梅ヶ香と相聞こえ、突羽根の袂は松に友染を飜す。をかし、此のあたりに住ふなる橙の長者、吉例よろ昆布の狩衣に、小殿原の太刀を佩反らし、七草の里に若菜摘むとて、讓葉に乘つたるが、郎等勝栗を呼んで曰く、あれに袖形の浦の渚に、紫の女性は誰そ。
「月令十二態」泉鏡花(青空文庫)
末尾部(原文より)
誰がための白き珊瑚ぞ。あの山越えて、谷越えて、春の來る階なるべし。されば水筋の緩むあたり、水仙の葉寒く、花暖に薫りしか。刈あとの粟畑に山鳥の姿あらはに、引棄てし豆の殼さら/\と鳴るを見れば、一抹の紅塵、手鞠に似て、輕く巷の上に飛べり。
「月令十二態」泉鏡花(青空文庫)
原文を読む
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