愚の旗(竹内浩三)のあらすじ・登場人物
ニヒリストの看板で昼寝する男
- 文字数
- 987字
- 読了目安
- 約2分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
竹内浩三が書いた短い散文の物語。神童と呼ばれ、詩人と呼ばれ、画を褒められた「彼」が、失恋をへてニヒリストの看板を掲げて昼寝に励み、やがて兵隊になるまでを、ひょうひょうとした語り口で描く。戦時中の青年のもつ屈託を、皮肉な笑いに包んで語る。
あらすじ
人は彼を神童と呼んだ。小学校の先生の解けない算術を一年生の彼が即座に解き、先生は自分が白痴になりたくなかったので、彼を神童と言うことにした。人は彼を詩人と呼んだ。行を変えて文章を書くのを好んだからだった。人は彼の画を印象派だとほめた。彼はモデルなしにデッサンの勉強もせず、女の画を描いていたからだった。彼は一人の娘を愛したがふられ、一生恨んでやると考えたが、やがて面倒くさくなってやめた。すべてが面倒になり、ニヒリストの看板を掲げて、毎日昼寝にいそしんだ。公然と昼寝できるからだった。やがて彼の国が戦争を始め、彼も兵隊になる。
冒頭部(原文より)
人は、彼のことを神童とよんだ。 小学校の先生のとけない算術の問題を、一年生の彼が即座にといてのけた。先生は自分が白痴になりたくなかったので、彼を神童と言うことにした。 人は、彼を詩人とよんだ。 彼は、行をかえて文章をかくのを好んだからであった。
「愚の旗」竹内浩三(青空文庫)
末尾部(原文より)
自分の子供は、自分である。自分は哲学を好む、しかるが故に、この子も哲学を好むとシロギスモスをたてた。 しかし、子供は、玉突きを好んだ。 彼は、一切無常のあきらめをもって、また、ひるねにいそしんだ。 一切無常であるが故に、彼は死んだ。 いろはにほへとちりぬるを。
「愚の旗」竹内浩三(青空文庫)
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